京都霊山護国神社

京都霊山護国神社

京都霊山護国神社は、京都市東山区にある神社で、幕末維新期の志士から、日清・日露戦争、太平洋戦争までの戦没者を祀っています。もとは霊山官祭招魂社と称し、明治天皇の詔により創建された招魂社の最初であり、靖国神社よりも古い歴史を持つことで知られています。現在は神社本庁から独立した別表神社です。

歴史

1862年、正法寺の神道葬祭場である霊明社で、殉難者の神葬祭が行われたのが始まりです。1868年には、明治天皇の詔により、維新の志士たちの御霊を祀る佳域社が霊山に創建されることになりました。これに感銘を受けた公家や諸藩がそれぞれの祠宇を建立し、霊山官祭招魂社が誕生しました。当初は国費で営繕される官祭社でした。

1929年には、昭和天皇即位大礼で使用された建物が下賜され、拝殿や斎殿が建立されました。1936年、日中戦争を契機に、国事殉難者の合祀運動が起こり、境内が拡大され、社殿が新築されました。また、維新の志士らを祀る霊山墓地の整備も行われました。1939年には、現在の京都霊山護国神社に改称されました。太平洋戦争後、国家の手を離れ、神社本庁の別表神社となりました。

戦後、GHQ占領下では京都神社と改称されましたが、サンフランシスコ講和条約後に元の社名に戻りました。霊山墓地は荒廃していましたが、1968年に松下幸之助が中心となり「霊山顕彰会」を設立、整備が行われ、1970年には霊山歴史館が開館しました。2002年に神社本庁との包括関係を解消しましたが、引き続き別表神社となっています。

祭神

祭神は、幕末の志士1,356柱と、明治以降の戦没者73,011柱です。坂本龍馬、中岡慎太郎、木戸孝允、高杉晋作など、幕末の志士たちが祀られています。特に坂本龍馬の命日である11月15日には、龍馬祭が行われ、多くの参拝者が訪れます。

境内

境内には、本殿、拝殿、祝詞舎、神饌所、斎殿などの社殿のほか、社務所、東社務所、多くの慰霊碑や顕彰碑、そして特攻勇士の像があります。

本殿: 1939年再建
拝殿: 1939年再建
祝詞舎: 1939年建立
神饌所: 1939年建立
斎殿: 1939年再建
東社務所: 霊山墓地入口に隣接
霊山歴史館: 道路を挟んで向かい側にある
霊山墓地: 境内の東側山腹にある

霊山墓地

霊山墓地には、維新の志士たちの墓が多くあります。

坂本龍馬の墓
中岡慎太郎の墓
木戸孝允（桂小五郎）の墓
高杉晋作の墓
久坂玄瑞の墓
その他、多くの志士の墓

幻の西郷隆盛像

かつて、西郷隆盛没後100年事業として、境内に西郷隆盛像を建立する計画がありました。彫刻家・古賀忠雄によって制作された像は、完成したものの、依頼者の死去により計画は中止となりました。完成した像は、後に鹿児島県に移設され、西郷公園に設置されています。

主な祭典

歳旦祭: 1月1日から3日
紀元祭: 2月11日
春季例大祭: 4月28日
みたま祭: 8月13日から16日
秋季例大祭: 10月14日
龍馬祭: 11月15日
天長祭: 12月23日

交通

京都市営バス: 80・202・206・207系統「東山安井」バス停下車、徒歩10分
京阪本線: 祇園四条駅から徒歩15分
阪急京都本線: 京都河原町駅から徒歩19分

その他

坂本龍馬の墓には、命日前後にファンが煙草を供えることがありますが、火災の危険性があるため、神社は火をつけないように呼びかけています。

神社は、日本画家・小早川秋聲の戦争画を所蔵していますが、代表作の多くは彼の故郷の美術館に寄託されています。

京都霊山護国神社は、幕末から近代の日本の歴史を深く感じられる場所です。多くの志士や戦没者の霊が祀られ、その歴史的意義は非常に大きいと言えるでしょう。

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