東征大総督

東征大総督（とうせいだいそうとく）

東征大総督とは、慶応4年（1868年）の戊辰戦争において、旧江戸幕府軍の勢力を制圧するために、明治新政府によって設置された臨時の軍司令官の役職です。鳥羽・伏見の戦いの後、新政府は従来の征討大将軍の職を廃止し、新たに東征大総督府を設置しました。

設置と人事

慶応4年2月9日、新政府は総裁であった有栖川宮熾仁親王を東征大総督に任命しました。同時に、先行して設置されていた東海道、東山道、北陸道の鎮撫使を、先鋒総督兼鎮撫使として東征大総督府の指揮下に置きました。

東征大総督府の参謀には正親町公董と西四辻公業が、下参謀には広沢真臣が任命されました。しかし、広沢はすぐに辞任し、代わりに西郷隆盛と林通顕が任命されました。また、軍監には江藤新平が就任しました。

権限

東征大総督には、戦争の指揮権に加え、徳川家や諸藩の処分に関する裁量権が与えられました。これは、新政府が戊辰戦争を早期に終結させ、新たな国家体制を確立するための重要な措置でした。

東征

慶応4年2月15日、有栖川宮熾仁親王は東征にあたり、明治天皇から錦旗と節刀を授けられ、京都を出発しました。同年4月には江戸城の無血開城を成し遂げ、同年5月には江戸鎮台と会津征討大総督を兼任しました。同年10月、その役割を終え、東征大総督の職を免ぜられました。

関連人物

有栖川宮熾仁親王: 初代東征大総督。皇族であり、新政府の象徴的な存在として、東征を指揮しました。
西郷隆盛: 御親征東海道先鋒総督軍参謀。新政府軍の重要な指揮官として、東征で活躍しました。
板垣退助: 御親征東山道先鋒総督軍参謀。軍事面で手腕を発揮し、新政府軍の勝利に貢献しました。
正親町公董: 東征大総督府参謀。
西四辻公業: 東征大総督府参謀。
広沢真臣: 東征大総督府下参謀（後に辞任）。
林通顕: 東征大総督府下参謀。
江藤新平: 東征大総督府軍監。法務面で新政府を支えました。

関連項目

宮さん宮さん: 東征の際に歌われた行進曲。
戊辰戦争: 東征大総督が設置された戦争。
官軍: 戊辰戦争における新政府軍の呼称。
賊軍: 戊辰戦争における旧幕府軍の呼称。
朝敵: 新政府に敵対した勢力を指す。
鎮台: 戊辰戦争後に設置された新政府軍の駐屯地。


東征大総督は、戊辰戦争における新政府の勝利と、その後の明治国家建設に大きく貢献しました。この役職を通じて、新政府は旧体制を一掃し、近代国家としての基礎を築きました。

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