広沢真臣

広沢真臣：維新の志士、その生涯と謎の死

広沢真臣（ひろさわ さねおみ、1834-1871）は、幕末から明治維新期に活躍した長州藩士であり、政治家です。維新の十傑の一人として数えられ、1800石の賞典禄を賜りました。その生涯は、激動の時代を生き抜いた稀代の能力と、謎に満ちた最期によって彩られています。

藩士としての歩み

長州藩士の子として生まれた広沢は、幼少期から藩校明倫館で学びました。1853年の黒船来航時には大森台場の警備にあたり、その後も藩の軍政改革に携わるなど、尊攘派として活動しました。

1859年には、世子・毛利定広と共に京都に赴き、桂小五郎や久坂義助らと共に藩の事務方として尽力しました。しかし、1864年の禁門の変、下関戦争、第一次征長など、長州藩が困難な時期を経験すると、藩内では政権闘争が激化。主戦派が敗れ、一時投獄されるも、処刑は免れました。

1865年、高杉晋作らのクーデターによって正義派が実権を握ると、中間派であった広沢は藩政に参加。改名を経て、木戸孝允の代理人、同僚として活躍しました。薩長同盟締結にも貢献し、1867年には大久保利通らと共に討幕の密勅の降下にも尽力したとされています。

維新政府での活躍と暗殺

明治維新後、広沢は参与、海陸軍務掛、東征大総督府参謀などを歴任。内国事務掛や京都府御用掛、参議を務め、戊辰戦争では、木戸孝允と同様に寛典論者として活躍しました。1869年には、木戸、大久保らと共に永世禄1800石を賜り、民部官副知事や参議などの要職に就きました。

しかし、1871年1月9日、東京の私邸で宴会の後、何者かに襲撃され暗殺されました。享年37歳でした。事件は多くの謎を残し、今日まで真相は解明されていません。

謎に包まれた暗殺事件

広沢の暗殺は、横井小楠、大村益次郎に続く維新政府要人の暗殺事件として、大きな衝撃を与えました。現場の状況には不自然な点が多く、事件の真相解明は困難を極めました。

捜査は行われましたが、犯人の特定には至らず、事件は迷宮入りしました。不平士族、旧幕府の残党、あるいは政府内部の陰謀など、様々な説が飛び交っています。木戸孝允との関係が悪かったという説も存在しますが、当時政府高官はしばしば地方に赴いており、必ずしも両者の関係が悪かったとは断言できません。

広沢真臣の評価とその後

広沢真臣は、松平春嶽や西郷隆盛からも高く評価されていました。春嶽は、大久保や木戸には及ばないものの、地方に配慮し、大きな功績を残したと評しています。西郷は、広沢を温厚篤実な人物として、誤殺の可能性を示唆しました。

暗殺後、広沢は正三位を追贈され、1879年には広沢家は華族に列せられました。1884年には、嫡男・金次郎が伯爵に叙せられました。広沢真臣の日記は、幕末維新史の貴重な資料として現在も高い評価を受けています。その生涯と暗殺事件は、今日なお多くの人々の関心を集めています。

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