東急くろがね工業

東急くろがね工業の歴史と製品の概要

東急くろがね工業（とうきゅうくろがねこうぎょう）は、日本の自動車メーカーで、1957年から1962年までの短い期間、存在していました。元々は「日本自動車工業」としてスタートし、主に3輪トラックとトラクターを製造していました。会社名の「くろがね」は、そのブランド名であり、当時のオート三輪業界では歴史のあるメーカーとして知られていました。

企業の成り立ち

東急くろがね工業の起源は、経営不振に陥っていた日本内燃機製造にあります。同社はその後、東京急行電鉄の五島慶太の資本を得て、経営破綻した小型4輪車メーカーであるオオタ自動車工業を吸収合併しました。これにより「日本自動車工業」と改名され、会社として再起を目指すことになりました。しかし、期待とは裏腹に技術や販売面での競争力を欠いたため、最終的には経営破綻を回避できず、日産自動車の傘下・東急機関工業を経て、日産工機として現在に至ります。

歴史の流れ

• - 1957年: 日本内燃機製造がオオタ自動車工業を合併し、「日本自動車工業」としての新たなスタートを切ります。

• - 1959年: 日本自動車工業は「東急くろがね工業」へと改名され、ブランド名を強化しました。

• - 1960年: 軽四輪トラック「くろがね・ベビー」を市場に送り込みました。このモデルは後に成功を収めました。

• - 1961年: 「くろがね・ベビー乗用トラクター」を発売し、農機部門への参入を計画しましたが、翌年の会社更生法適用によりその夢は短命に終わります。

• - 1962年: 経営破綻により自動車製造から撤退し、日産自動車のサポートを受けることになりました。

提供した製品

東急くろがね工業が提供した代表的な製品には、以下のようなものがあります。

• - くろがね三輪トラック: 戦前から続くブランドの象徴で、同社の長い歴史にわたって製造されてきました。

• - くろがね・マイティ（NA/NB/NC型 1957年 - 1962年）: 小型キャブオーバートラックで、他社のトラックと比べて3名乗車を可能としたのが特徴でした。

• - くろがね・ベビー（1960年 - 1962年）: 興味深いキャブオーバー式の軽4輪トラックで、短期間で人気を博しましたが、最終的には競争の激化によって製造が終了しました。

• - くろがね・ノーバ（KN型 1959年 - 1962年）: オオタ・KE/VMの後継として登場したボンネットトラックで、エアサス装備が特徴的でした。

経営の変遷

経営への復帰を試みたものの、技術的な強みと市場での競争力を欠いたため、結局は再建を果たせず、1963年には日産自動車のダットサン・キャブライト用エンジンの生産を下請けとして開始しました。最終的には1964年に東急機関工業が発足し、1971年には「日産工機」として改組され、今日に至ります。

関連項目

この会社の歴史を語る上で外せないのが、当時の技術者である中村良夫や、親会社である東京急行電鉄の存在です。また、東急くろがね工業の自動車製造撤退以後も、その技術や経験は別の企業やプロジェクトに受け継がれています。

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