東急バス駒沢営業所

東急バス駒沢営業所の歴史

概要

東急バス駒沢営業所（とうきゅうバスこまざわえいぎょうしょ）は、東京都世田谷区駒沢に位置していた営業所で、1964年10月1日に開設されました。廃止は1984年3月で、約19年半にわたり運行が行なわれていました。最寄りの停留所名は、「駒沢営業所」（現在の駒沢公園西口）で、営業所の略号は「K」とされていました。この営業所は主に、1964年に開催された東京オリンピックの輸送需要に応えるために設立され、世田谷区および環状七号線方面の路線を担当していました。

歴史的背景

駒沢営業所は、東京オリンピック直前の1964年に設立されました。それまでの東急バスの営業所は淡島、弦巻、瀬田の3か所でしたが、当時の輸送能力では観客や選手のニーズに対処できないと判断され、新たに駒沢営業所が設立されたのです。オリンピック競技施設へのアクセスを確保するため、駒沢オリンピック公園周辺へのバス路線が必要とされ、開設当初からその重要な役割を担っていました。

路線の特徴

駒沢営業所では、東京都交通局（都営バス）との共管による長距離路線が数多く存在しました。開設当初、駒沢線や等々力線といった路線が都営と共管され、その後も環七線との接続を含め展開が続きました。1971年には駒沢線が恵比寿駅までの短縮が行われ、さらに1975年には「東急コーチ自由が丘線」という新しい高付加価値路線が開設され、一般路線との差別化が図られました。

時代の変化と路線の縮小

1980年代に入ると、東京都交通局が立てた再建計画により、都営との共管は縮小する一方でした。1984年の大規模路線再編成により、駒沢営業所は主要路線の多くを大橋営業所へ移管され、ようやく残った路線も最終的には弦巻営業所に移されました。その結果、駒沢営業所は1984年の3月15日に営業を終了し、翌日には正式に閉鎖されました。この営業所は、新設された東急バスの営業所の中では最も短い歴史を持つ施設となりました。

車両と運営

駒沢営業所で使用されていた車両は、当初は三菱ふそうからの納入があったものの、時が経つにつれて日産ディーゼル工業製の車両が主流になりました。特に1975年に開設されたコーチ自由が丘線向けには、専用の三菱ふそうの車両が整備されました。また、駒沢営業所の一般路線車両には、新宿駅発着路線のためのバスロケーションシステムに対応した装置も搭載されていましたが、廃止後しばらくはその痕跡が残りました。

総括

駒沢営業所の歴史は、東京オリンピックという特異な時期に始まり、数奇な変遷を経て縮小・閉鎖へと至りました。この営業所は、交通インフラの発展とともに変化する地域のニーズに応えてきた一つの証でもあります。運営や路線の実状は、時代の影響を色濃く受けつつ、地域住民や訪れる人々への重要な移動手段として機能していたことから、その役割が今後も評価され続けることでしょう。

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