東急7500系電車

東急7500系電車（TOQ i）：総合検測を担う事業用車両

東急7500系電車、愛称「TOQ i（トークアイ）」は、東急電鉄が2012年に導入した事業用車両です。長年活躍した7200系事業用車の老朽化に伴い、その代替として製造されました。

概要

7500系は、デヤ7500形とデヤ7550形の2両を基本として運用されます。両車両は両運転台構造のため、単独走行はもちろん、回送車両を連結した最大5両編成での運用も可能です。主な用途は以下の通りです。

鉄道全線の総合検測（動力車・軌道検測車・電気検測車の3両編成）
池上線・東急多摩川線車両（1000系1500番台を含む）の長津田車両工場への回送牽引
* 長津田駅 - 長津田検車区間の甲種輸送車両の搬入・搬出

「TOQ i」という愛称は、一般公募によって決定されました。「TOQ」は東急への親しみを込め、「i」は検測（inspect）の頭文字と、「eye（目）」、そして「愛」の意味が込められています。

車体

車体は、18m規格の7000系をベースとした軽量ステンレス構造で、側構体は台形断面構造です。前面はFRP製ではなく、ステンレス製の三面折り妻構造を採用。中央上部には運行番号と種別表示器が設けられ、連結時には車両間の通り抜けが可能です。

通常先頭となる車両にはLED式前照灯とスカートが設置されています。運転機会の少ない側の前照灯はシールドビーム式で、スカートは省略されています。側面には片側4枚の窓があり、うち2枚が開閉可能な下降窓、残り2枚が固定窓です。側面に出入り口がありますが、手動で開閉・施錠します。デヤ7550形には、車体中央上部に架線観測ドームが設置されています。

カラーリングは、東急のコーポレートカラーである赤をメインに、「先進性」「安心感」「スピード感」「躍動感」を表現。7500形は青、7550形は黄色でマーキングされています。車体外板接合にはレーザー溶接が用いられ、平滑化とメンテナンスフリー化を実現しています。

車内

車内は、6000系と同様の白色系内装です。側面には跳ね上げ式の3人掛け座席が設置されています。本来床下に搭載する機器の一部（ATC-P装置など）が、スペースの制約から室内に設置されています。デヤ7500形には、他編成との併結用ジャンパ連結栓が搭載されています。

空調装置は、デヤ7550形の屋根上に検測機器があるため、床置き式冷房装置を搭載しています。運転台は5050系を基本としつつ、中央貫通構造に合わせてコンパクトにまとめられています。車両情報装置（TIS）も搭載されています。

走行機器

制御装置は、IGBT素子を使用したVVVFインバータ方式（東芝製）です。インバータ装置はデュアルモード方式で、電動機制御用と補助電源用を切り替え可能です。各車両にシングルアーム式パンタグラフを2基搭載。主電動機は東芝製の全閉式かご形三相誘導電動機で、低騒音化と保守性向上を図っています。

台車は7000系と同等の軸梁式ボルスタレス台車を採用。保安装置はATC-P装置と東急型ATS装置を搭載しています。

検測機器

7600系・7700系・1000系（1500番台を含む）はATCを搭載していないため、長津田車両工場への自力回送ができません。そのため、7500系にはこれらの車両と併結するための「力行読み替え装置・ブレーキ読み替え装置」が搭載されています。

編成状態をTISが認識・判別できない場合に備え、「編成状態切り換えスイッチ」が設置されています。これにより、連結状態に応じて読み替え装置の指令を切り替えたり、TISの状態表示を最適化したりできます。

検測機器としては、架線検測装置、無線電界測定装置、信号設備検測機能などを備えています。

運用

2012年2月29日に長津田検車区に搬入され、同年5月から本格的な使用を開始しました。鉄道線の検測は6月から開始され、原則として2か月に1回、東急電鉄全線およびみなとみらい線を検測します。基本的には軌道検測車を組み込んだ3両編成で実施しますが、架線検測のみの場合は2両で行います。

7500系「TOQ i」は、東急電鉄の安全・安定輸送を支える重要な役割を担っています。

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