東方三博士の礼拝 (フィリッピーノ・リッピ)

フィリッピーノ・リッピの「東方三博士の礼拝」は、ルネサンス期のイタリアで制作された宗教画の傑作です。1496年に署名され、制作されたこの作品は、フィレンツェのウフィツィ美術館に収蔵されています。この作品は、元々レオナルド・ダ・ヴィンチに依頼された同名の作品の代替として、サン・ドナート・ア・スコーペト修道院のために描かれました。

当初の依頼主であるレオナルド・ダ・ヴィンチは、この主題で作品を制作しましたが、未完のままとなりました。その後、1529年にカルロ・デ・メディチ枢機卿がこの作品を購入し、1666年にウフィツィ美術館の所蔵となりました。

リッピの作品は、特に中央部分において、レオナルドの設定に倣っています。また、ボッティチェッリの同名の作品からも強い影響を受けており、聖家族が画面の中央下に配置されている点や、人物配置などにその影響が見られます。ボッティチェッリと同様に、リッピもまた、作品が制作された時期にサヴォナローラの共和国と関係があったメディチ家の分家の人々を描写しています。

画面左側には、象限儀を持ってひざまずいているピエル・フランチェスコ・デ・メディチが描かれています。彼はこの作品が描かれる20年前に亡くなっています。彼の後ろには、ゴブレットを持っているピエル・フランチェスコの2人の息子ジョヴァンニと、王冠を外している小姓のロレンツォが描かれています。

作品全体としては、リッピ晩年の様式が顕著に表れており、細部への細やかな配慮や、外国絵画の知識の影響を受けた神経質なリズム感が特徴的です。背景の風景にも同様の特徴が見られます。

「東方三博士の礼拝」は、ルネサンス期の宗教画における重要な作品の一つであり、フィリッピーノ・リッピの芸術的才能を示す優れた例です。レオナルド、ボッティチェッリの影響を受けながらも、独自の表現を確立しており、その芸術的価値は高く評価されています。

関連作品

東方三博士の礼拝（レオナルド・ダ・ヴィンチ）
東方三博士の礼拝（ボッティチェッリ、1475年）

参考文献

artonline.itのページ(イタリア語)
フィリッピーノリッピ-ウフィツィ美術館でのマギの崇拝

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