東方三博士の礼拝 (ペルジーノ、ペルージャ)

東方三博士の礼拝

ピエトロ・ペルジーノの「東方三博士の礼拝」（伊:Adorazione dei Magi）は、15世紀後半のルネサンス期に制作されたテンペラ画です。この作品は、イタリアのペルージャにあるウンブリア国立絵画館に所蔵されており、ペルジーノの初期の作品の一つとされています。

制作背景

制作年は1470年から1473年、または1476年頃とされています。美術史家ヴィットーリア・ガリバルディは、この作品がペルジーノがフィレンツェでの徒弟期間を終えた直後に受けた初期の依頼作品であると述べています。一方、1470年代後半に制作されたと考える研究者もいます。元々はバリオーニ家と関係のあるペルージャのサンタ・マリア・デイ・セルヴィ教会のために描かれ、1543年にサンタ・マリア・ヌオーヴァ教会に移されました。

作品の構成

絵画は伝統的な構図に従い、右側にはキリスト生誕の家、左側には東方三博士の行列が水平に展開しています。背景には、空気遠近法を用いて描かれた岩の多い丘陵の風景が広がります。牛とロバが風景の中に配置されています。

中央には聖母マリアが祝福する幼子イエス・キリストを抱き、その後ろには杖を持つ聖ヨセフが立っています。最年長の博士はすでにひざまずいており、他の二人は贈り物を持って近づいています。行列の中には、ターバンを巻いた少年や優雅な姿勢の金髪の青年など、ペルジーノの作品によく見られる人物が描かれています。左端に描かれた男性は、ペルジーノの自画像ではないかとされています。

様式の特徴

聖母子像は、ペルジーノの初期の作品である『ガンビアパリーの聖母』に類似しています。画面全体の様式は、ペルジーノが徒弟時代を過ごしたヴェロッキオの工房の影響が見られます。人物描写は後期ゴシック美術の影響を受けており、群衆の表現はペルジーノの初期の師であるフィオレンツォ・ディ・ロレンツォの作品に見られる力強さを感じさせます。また、人物と風景の統合には、黄金比の木などピエロ・デラ・フランチェスカの影響が見られ、風景描写はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品にも通じるものがあります。

「東方三博士の礼拝」は、ペルジーノの初期の作風を知る上で重要な作品であり、ルネサンス美術における重要な作品の一つとして評価されています。

参考資料

Garibaldi, Vittoria (2004). “Perugino”. Pittori del Rinascimento. Florence: Scala. ISBN 978-88-8117-099-9

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