東方紅1号

東方紅1号：中国初の人工衛星

東方紅1号（ドンファンホンイーハオ）は、1970年4月24日に中国が打ち上げた初の人工衛星です。この打ち上げ成功により、中国は世界で5番目の人工衛星打ち上げ国となりました。英語圏では「China 1」や「Chicom 1」とも呼ばれています。

開発の背景

1958年、毛沢東が「我々も人工衛星を開発すべきだ」と提唱したことが、このプロジェクトの始まりでした。その後、中国経済が好転し始めた1965年、1970年から71年の間に初の人工衛星を打ち上げるという目標が決定され、銭学森の指示の下、開発が進められました。

打ち上げと軌道投入

1970年4月24日21時35分、東方紅1号は内モンゴル自治区西部の酒泉衛星発射センターから、長征1号ロケットによって打ち上げられました。ロケットとの分離も成功し、21時48分には計画通り軌道に投入されました。

衛星のミッションと構造

東方紅1号には通信機が搭載されており、26日間、毛沢東を称える歌「東方紅」を宇宙から配信しました。この音楽は日本でも受信可能でした。また、主な目的は人工衛星技術の試験と、電離層と大気層の環境観測でした。

衛星は球状の72面体で構成され、重量は173kg、直径は1mでした。これは、各国が初めて打ち上げた人工衛星の中では最も重いものでした。姿勢制御のために1分間に120回転し、温度調整のため、外表面は特殊な加工が施されたアルミニウム合金でコーティングされていました。球体の中心部には、長さ2m以上の4本の超短波ホイップアンテナが取り付けられ、機体の下部はロケットエンジンを搭載したステージに接続されていました。

軌道は、近地点が441km、遠地点が2386km、傾斜角は68.55°、周期は114.09分でした。当初は20日間の稼働を予定していましたが、実際には28日間稼働し、遠隔測定データを地球に送信し続けました。通信は5月14日に終了しました。

打ち上げ後の影響

この成功により、中国はソ連、アメリカ、フランス、日本に次いで、5番目に自力で人工衛星を打ち上げた国となりました。2005年4月21日には、東方紅1号の設計、製造、監督に携わった技術者たちが集まり、東方紅1号が誕生した北京衛星製造工場はモニュメントとして使用されました。神舟5号の有人飛行記念日との共同企画として、東方紅1号の実物大レプリカが工場で製造され、北京プラネタリウムで公開されました。また、打ち上げ40周年を記念して、2010年4月23日には記念座談会が開催されました。

現在の状況

東方紅1号は現在も431kmから2124kmの安全な軌道上に存在しており、底面に装着された光る金属リングにより、5-8等級の光として観測することができます。

関連情報

東方紅2号: 東方紅1号の後継機。
おおすみ: 東方紅1号の2ヶ月前に打ち上げられた日本初の人工衛星。

外部リンク

百度百科・东方红一号卫星 (中国語)
REAL TIME SATELLITE TRACKING - 東方紅1号の現在の位置がわかるサイト。

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