神舟5号

神舟5号：中国初の有人宇宙飛行

神舟5号は、中華人民共和国が打ち上げた有人宇宙船で、同国初の有人軌道飛行を成功させました。この成功により、中国はソビエト連邦、アメリカ合衆国に次いで、世界で3番目に自力で有人宇宙飛行を達成した国となりました。これは、42年ぶりの快挙として世界中で注目されました。

飛行概要

2003年10月15日9時（中国標準時）、甘粛省と内モンゴル自治区の境にある酒泉衛星発射センターから、長征2号F型ロケットによって打ち上げられました。宇宙飛行士として選ばれたのは、当時38歳だった中国空軍の楊利偉中佐です。神舟5号は、高度343kmの円軌道を約21時間（14周回）飛行した後、10月16日6時23分（同）に内モンゴル自治区四子王旗の草原地帯に着陸し、楊中佐は無事に帰還しました。

この打ち上げは、胡錦濤が中国共産党総書記に就任した直後に行われたため、その就任を祝う意味合いもあったとされています。打ち上げは事前に公表されており、ソ連のボストークのように秘密裏に行われたわけではありません。このことから、中国のロケット技術に対する自信の表れと見ることができます。

また、神舟5号には、赤外線カメラなどの光学式偵察装置が搭載されており、帰還モジュール分離後も軌道上で偵察衛星として活用されています。この技術は、神舟4号での実験の成果を応用したものです。

大気圏再突入時には、一時的に管制官との連絡が途絶え、着陸誘導が困難になるというトラブルが発生しました。しかし、光学方式による誘導に切り替えられ、当初の着陸目標地点から9キロメートルほど離れたものの、無事に着陸に成功しました。このことは、新華社によって2007年8月13日に発表されました。

さらに、神舟5号には国際連合から贈られた国際連合の旗が搭載されており、帰還後に当時の国連事務総長コフィー・アナンに返還されました。宇宙飛行中、楊利偉中佐は中華人民共和国の国旗と国連旗をビデオカメラに向かって掲げる様子が記録されています。

宇宙食

神舟5号のミッションでは、宇宙食として中華料理が提供されました。具体的には、八宝飯、魚香肉絲、宮保鶏丁などのメニューが用意されました。また、漢方薬と滋養成分を配合した食後用のドリンクも提供され、宇宙飛行士の健康維持に配慮した食事が用意されました。

まとめ

神舟5号は、中国が自力で有人宇宙飛行を成功させた歴史的なミッションです。この成功は、中国の宇宙開発における技術力の高さを示すだけでなく、国際社会における中国のプレゼンスを高めることにも繋がりました。このミッションによって得られた経験と技術は、その後の中国の宇宙開発に大きく貢献しています。

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