東日本大震災に対する北アメリカの対応

東日本大震災に対する北アメリカの対応

東日本大震災発生時、北アメリカは、アメリカ合衆国とカナダを中心に、多岐にわたる支援活動を展開しました。以下に、各国の具体的な対応を詳細に記述します。

アメリカ合衆国の対応

アメリカ合衆国は、民間と政府の両面から、大規模な支援を実施しました。

民間からの支援

義援金: アメリカ赤十字社などの民間団体から、総額160億円を超える義援金が寄せられました。震災から3年後には約730億円、5年後には約750億円に達したと推計されており、これはアメリカが海外の自然災害に対して行った民間支援として過去最高額であり、海外災害への寄付としては3番目の規模です。
MLBの支援: [メジャーリーグベースボール]とその選手会(MLBPA)は、合わせて50万ドルをユニセフに寄付しました。また、MLBは「Japan Relief」特設ページを開設し、寄付を募りました。
移民関連の支援: アメリカ合衆国市民権・移民局(USCIS)は、震災の影響で日本に帰国できない旅行者の滞在期間延長や、アメリカ市民・永住者の親族である日本人の移民申請の迅速化など、特別な移民援助措置を発表しました。
要人からのメッセージ: バラク・オバマ大統領は、「心が痛む」と述べ、必要な支援を惜しまない姿勢を示しました。また、日本大使館を訪問し、「日本は必ず復興する」と激励しました。ヒラリー・クリントン国務長官も、松本剛明外務大臣と電話会談を行い、最大限の支援を約束しました。
原子力関連の専門家派遣: アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)は、福島第一原子力発電所事故を受け、原子力専門家2名を日本に派遣しました。
通信会社の支援: AT&T社とベライゾン・コミュニケーションズ社は、日本への通話とテキストメッセージサービスを期間限定で無料化し、アメリカ赤十字社へのテキストメッセージによる募金も受け付けました。コックス・コミュニケーションズ社も同様に日本への通話サービスを無料化し、一部地域ではテレビジャパンを無料提供しました。
ハーレーダビッドソンの対応: 津波でカナダまで流されたハーレーダビッドソンを無償で修理し、所有者に届けようとしました。その後、所有者の意向により、現状のままハーレー博物館に展示されることになりました。
NBA選手の寄付: NBA選手のデリック・ローズは、1点決めるごとに1,000ドルを寄付するというルールを設定し、他の選手も同様に寄付を行いました。

トモダチ作戦

アメリカ軍は、日本政府の要請に応じて、大規模な救援・支援作戦「オペレーション・トモダチ」を実施しました。

在日米軍の活動: 在日米軍横田基地は、成田空港に着陸予定だった民間機を受け入れました。在沖縄海兵隊も支援態勢を整え、ロバート・ゲーツ国防長官は在日米軍の被害が少ないことを明らかにしました。アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)は、約150人からなる2つの救援隊を派遣し、救助犬や救援物資を輸送しました。
艦船の派遣: アメリカ軍は、原子力空母「ロナルド・レーガン」や「ジョージ・ワシントン」などを三陸沖に派遣し、海上自衛隊とともに物資輸送を開始しました。また、自衛隊北部方面隊への人員と車両の輸送支援も検討されました。
被災者救助: 在日米軍厚木基地所属のヘリコプターが、孤立した被災者の救助作戦を開始しました。駆逐艦マッキャンベルなどの艦船も房総半島沖に到着し、捜索活動や復旧作業を支援しました。第7艦隊の旗艦「ブルー・リッジ」なども、小型艇やヘリコプター、支援物資を積んで被災地へ向かいました。
原子力発電所事故の影響: 原子力空母「ロナルド・レーガン」搭載のヘリコプター要員が、仙台市近くでの救助活動中に被曝したため、アメリカ海軍は空母と展開中の艦船を福島第一原子力発電所から離脱させました。
普天間飛行場の役割: 在日米軍は、一連の支援作戦で普天間飛行場の存在意義をアピールしましたが、不謹慎とする声も上がりました。一方、米軍側は今回の救援活動で普天間基地の重要性が証明されたと主張しました。

カナダの対応

カナダも、政府と民間が協力して支援活動を展開しました。

政府の支援: スティーヴン・ハーパー首相は、哀悼の意を表し、必要な支援を行うと表明しました。カナダ政府は、毛布約2万5000枚や放射線サーベイメーター、線量計などの物資を提供しました。
民間の支援: 現地の学生や日本人留学生が、Facebookなどで支援協力や募金活動を呼びかけました。コックス・コミュニケーションズ社は、日本への通話を無料化し、テレビジャパンを期間限定で無料提供しました。
退役軍人団体の支援: 第二次世界大戦における最後のカナダ人戦死者であるロバート・ハンプトン・グレー大尉が、女川湾で戦死した縁から、カナダ海軍の退役軍人団体から義援金が寄せられました。

まとめ

東日本大震災に対する北アメリカの対応は、アメリカ合衆国とカナダが、政府、軍、民間が一体となって、迅速かつ大規模な支援活動を行ったことが特徴です。多額の義援金、物資提供、捜索救助活動、そして通信支援など、多岐にわたる支援は、被災地復興の大きな支えとなりました。

参考文献

外務省 - 震災に対する各国からの支援について記載されている。

関連項目

東日本大震災に対する日本国外の対応
* トモダチ作戦

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