東条義叔

東条義叔の生涯と系譜

東条義叔（とうじょう よしすえ）は、江戸時代初期の政治や社会の中で重要な役割を担った旗本である。彼は高家旗本の吉良義冬の次男として誕生し、その家系は江戸幕府直下の重要な一族であった。彼の母は酒井忠吉の娘で、7000石の旗本に属していた。義叔の生年は明確には記されていないが、兄の吉良義央が寛永18年（1641年）に生まれたことから、それ以降に生を受けたと考えられている。

義叔は兄の義央が家督を継いでいたため、別に東条家を設立した。元々、戦国時代には吉良氏は二系統に分かれており、西条吉良家と東条吉良家に分化。そのため、彼が東条という家名を持つことになったのではないかと言われている。なお、東条家は高家ではなく一般の旗本家として位置付けられていた。

政治的な経歴

義叔は寛文元年（1661年）12月24日に将軍徳川家綱に仕官し、中奥小姓という重要な役職に就く。この役職は、将軍のそばで直接仕えることを意味しており、非常に名誉なものであった。さらに、寛文2年（1662年）には切米500俵を給付され、経済的にも安定した基盤を得た。

寛文5年（1665年）には、従五位下・因幡守に叙任され、その後も長きにわたり小姓として仕え続けた。しかし、元禄7年（1694年）になると勤務怠慢とされて小普請にされ、江戸城への出仕も停止されてしまった。このような困難を経つつも、義叔は12月11日に赦免され、再び職務に戻った。元禄10年（1697年）には知行を領することとなり、武蔵国児玉郡と賀美郡に500石の地を持つことが許された。

家族と系譜

義叔は実子を残さなかったため、義叔の弟、義冬の四男である東条冬貞を養子に迎えた。しかし、この冬貞も宝永元年（1704年）に亡くなってしまったため、次に柘植氏から東条義武を養子とし、彼に家を継がせた。興味深いことに、義叔の弟である義孝も別に東条家を設立したが、その系統は短命に終わった。

吉良家は赤穂事件によって断絶していたが、享保17年（1732年）には義武の養子、義孚が吉良姓への復姓を願い出て許可された。ただし、高家の格式については認められなかったが、代々御書院番に任じられることになった。一方で、武蔵吉良氏の末裔である蒔田家も宝永7年（1710年）に吉良姓の復姓を許され、この流れが「高家吉良家」として後に存続することになる。

最後の日々

義叔は宝永6年（1709年）1月1日に死去し、吉良家の菩提寺である牛込の万昌院に葬られた。彼の法名は道樹とされ、生涯を通して江戸時代の武士としての地位を築いた人物であった。義叔の人生は、当時の政治の変遷や家族の重要性を示す一つの象徴となっている。

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