東林寺 (九江市)

東林寺：浄土宗発祥の地、廬山の名刹

東林寺は、中国の世界遺産である廬山に位置し、江西省九江市にあります。九江市の中心部から16キロメートルに位置し、「廬山東林寺」とも呼ばれています。東晋時代の太元9年（384年）に建立され、廬山を代表する名刹の一つとして知られています。

浄土宗発祥の地

東林寺は、何と言っても浄土宗発祥の地として有名です。日本の浄土宗や浄土真宗からも、その源流を求めて多くの人々が訪れます。1983年には、国務院によって仏教全国重点寺院に指定されました。

慧遠大師と東林寺の創建

東林寺の始まりは、慧遠大師に遡ります。仏法を広めるために南下していた慧遠大師は、廬山に立ち寄りました。その魅力に惹かれ、いつの間にか三年もの時が過ぎ、彼を慕う人々も増えていきました。江州刺史であった桓伊が、この地に寺を建立することを提案し、朝廷の許可と民衆の支援を得て、慧遠大師を中心に寺院が建立されました。

慧遠大師は、常に東林寺に留まり、太元15年（390年）には中国で初めてとなる仏教結社「白蓮社」を立ち上げました。ここでは、浄土業を修行の中心とし、「阿弥陀仏の浄土法門」を唱えました。

歴史に名を刻む人々

隋の時代には、天台大師がこの地を訪れて足を休めました。日本でも有名な鑑真大師は、六度目の日本への渡航に挑戦する前に東林寺を訪れ、日本の浄土宗への伝承に大きな役割を果たしました。また、南宋時代の著名な将軍、岳飛も母親のためにこの地を訪れたと伝えられています。

日中友好の象徴

日中国交正常化20周年の際には、日本の浄土宗団体が二度東林寺を訪問し、蓮と蓮の実を贈りました。日本の浄土宗総長であった成田有恒氏と果公上人が手を携えて蓮の池に入り、友好と平和を象徴する青蓮華を共同で植え、両国の友好を深めました。

東林寺は、その長い歴史の中で、多くの人々に信仰の拠り所として、また文化交流の場として重要な役割を果たしてきました。浄土宗の聖地として、そして日中友好の象徴として、これからもその輝きを放ち続けるでしょう。

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