東欧史研究会

東欧史研究会（とうおうしけんきゅうかい、英称: Association for East European Studies）は、日本の学術界において東欧史研究を推進する主要な団体の一つです。

概要と設立

本会は1975年に設立され、以来、東欧地域の歴史に関する学術研究の振興と普及を目的として活動を展開しています。日本の学術コミュニティにおけるその重要性は高く評価されており、日本学術会議の協力学術研究団体として公式に認められています。また、日本学術会議などが編纂する「学会名鑑」にも学会として登録されており、その存在は広く認知されています。

主要な活動

東欧史研究会は、会員の研究成果の発表と交流を促進するために、年間を通じて様々な活動を実施しています。主要な活動として、年に一度、会員が一堂に会して研究発表や議論を行う「大会」が開催されます。また、これに加えて、より頻繁な研究交流の場として年間4回程度の「例会」も開催されています。これらの会合は、最新の研究動向を共有し、活発な意見交換を行うための貴重な機会となっています。近年は、関連分野を専門とするハプスブルク史研究会と連携し、合同で「個別研究報告会」を開催するなど、他の学術団体との交流も積極的に行っています。

学術出版

本会の学術活動の柱の一つに、機関誌である学術誌『東欧史研究』（英題: The Journal of East European Studies、ISSN 0386-6904）の刊行があります。本誌は1978年に創刊されて以来、東欧史に関する質の高い査読付き論文を掲載する場として、日本の当該分野の研究を牽引してきました。現在も、毎年1号ずつ定期的に発行を続けています。さらに、本誌に掲載された論文は、より広く一般に公開される取り組みも行われています。具体的には、刊行から3年の期間を経た誌面は、国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」を通じて電子ジャーナルとして一般公開されており、多くの研究者や関心を持つ人々がインターネットを通じてアクセスできるようになっています。

社会情勢への対応

学術研究団体としての活動に加え、本会は時宜に応じた社会的な関心事にも対応する姿勢を示しています。例えば、近年の国際情勢であるロシアによるウクライナ侵攻を受けて、公式サイト上では期間限定の特別コンテンツとして「ウクライナに関するフォーラム」を設置しました。これは、喫緊の課題に対する情報提供や議論の場を設けることで、社会に対する貢献を果たそうとするものです。

組織と歴代委員長

東欧史研究会の運営は、会員の中から選出された委員によって行われ、その中心となるのが委員長です。多くの著名な研究者が歴代委員長として学会の発展に貢献してきました。1997年度以降の歴代委員長とその所属・専門分野は以下の通りです。

1997年度～1998年度：小沢弘明（千葉大学、オーストリア近代史）
1999年度：戸谷浩（明治学院大学、ハンガリー近世史）
2000年度（委員長代行）：薩摩秀登（明治大学、ボヘミア中近世史）
2001年度～2003年度：戸谷浩（明治学院大学、ハンガリー近世史）
2004年度～2007年度：篠原琢（東京外国語大学、チェコスロヴァキア近代史）
2008年度～2011年度：薩摩秀登（明治大学、ボヘミア中近世史）
2012年度～2015年度：白木太一（大正大学、ポーランド近代史）
2016年度～2019年度：吉岡潤（津田塾大学、ポーランド近現代史）
2020年度～2021年度：中田瑞穂（明治学院大学、チェコスロヴァキア近現代史）
2022年度～：秋山晋吾（一橋大学、ハンガリー近世史）

2022年度および2023年度の委員長は、一橋大学の秋山晋吾氏が務めています。このように、本会は歴代の委員長を中心に、日本の東欧史研究の拠点として、その活動を継続的に展開しています。

結び

設立以来、東欧史研究会は学術大会や例会の開催、機関誌の発行などを通じて、日本の東欧史研究の発展と研究者間のネットワーク構築に大きく貢献してきました。今後も、活発な研究活動と情報発信を通じて、当該分野の深化と社会への貢献を目指していくものと考えられます。

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