東武大師線

東武大師線

東武大師線は、東京都足立区の西新井駅と大師前駅を結ぶ、全長1.0kmの東武鉄道の鉄道路線です。駅ナンバリングは「TS」で、東京23区内の旅客営業路線としては珍しい全線単線となっています。また、東武鉄道の路線の中で、同一の都道府県かつ単一の市町村内で完結する路線としても特徴的です。

歴史

この路線の起源は、西板線という、西新井駅から東上本線上板橋駅までを結ぶ計画の一部でした。1931年、西新井大師（總持寺）への参詣客輸送を目的として、西新井駅 - 大師前駅間が開業しました。1968年には、環七通りの拡幅工事に伴い、線路用地の一部を提供したため、営業キロが100m短縮され1kmとなりました。1991年には、西新井駅周辺を除き高架化されたため、東武鉄道で唯一、全線にわたり踏切が一つも存在しない路線となりました。

特徴

大師線には途中駅がなく、大師前駅には自動改札機や自動券売機が設置されていません。大師前駅からの乗車券は、西新井駅構内の乗り換え通路にある券売機で購入するか、定期券や企画切符を利用する必要があります。このような形態の駅は、名鉄築港線の東名古屋港駅や山陽本線（和田岬線）の和田岬駅など、他の鉄道会社にもいくつか存在します。

路線データ

路線距離：1.0km
軌間：1,067mm
駅数：2駅（起終点駅含む）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：全線（直流1,500V）
閉塞方式：自動閉塞式
保安装置：東武形ATS
最高速度：60km/h

運行形態

現在はワンマン運転で、通常は2両編成の8000系電車が西新井駅と大師前駅の間を往復しています。運行間隔はほぼ終日10分間隔で、早朝深夜時間帯も最大15分間隔で運行されています。車両は亀戸線と共通運用されており、亀戸線で朝ラッシュ時に運用される車両が、昼過ぎに西新井駅まで回送され、大師線の運用に入ります。

使用車両

現在は8000系（南栗橋車両管区春日部支所所属・ワンマン対応車・2両編成）が使用されています。かつては10000型も入線していましたが、西新井駅の車止めに衝突事故を起こしたため、運用から外されました。以前には、5050系など他の2両編成の車両も運用されていました。

駅一覧

全駅が東京都足立区内に所在しています。

西新井駅 (TS11): ∨（2線）
大師前駅 (TS12): ｜（単線）

西板線計画

第二次世界大戦前には、西新井駅と東上本線上板橋駅を結ぶ西板線の計画がありました。この計画は、東武本線系統と東上線系統の接続を目的としていましたが、関東大震災や資金難などにより、西新井 - 大師前間のみが開業し、残りの区間は未成に終わりました。この計画の実現が果たせなかったことは、東武鉄道の歴史においても残念なこととして記録されています。

今後の展望

2023年度以降には、添乗員付き自動運転の実施に向けた検証が開始される予定です。これは、大師線のさらなる効率化と安全性の向上を目指すものです。

大師線は、短いながらも地域の足として重要な役割を担い、その歴史と特徴は、東武鉄道の多様な路線網の中でも特筆すべき存在です。

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