東武100形電車 (軌道)

東武100形電車の紹介

東武100形電車（とうぶ100がたでんしゃ）は、1953年に東武鉄道によって日光軌道線向けに製造された路面電車で、当初は10両が新造されました。この車両は、1968年2月に日光軌道線が廃止されるまで運行され、その後全車が岡山電気軌道に譲渡され、岡軌3000形電車として再利用されました。新しい運行先でも10年以上にわたり、主力車両として重要な役割を果たしました。

背景

日光軌道線は、もともと清滝にある古河電気工業日光電気精銅所からの銅製品を国鉄日光線経由で出荷することを目的に建設されました。しかし、第二次世界大戦後には観光客の増加に伴い、旅客輸送の強化が求められるようになりました。この結果、1953年には新たに東武鉄道の手による近代的な電動客車の製造が計画されて、100形が投入されました。

当時、日光軌道線で運行されていたのは、古い木造2軸車両や半鋼製車両が多く、これらでは限られた輸送力のため、旅客輸送の需要に応えきれない状況でした。100形の導入により、輸送力の向上が期待されました。

車両の仕様

100形の車両は、一般的な全溶接組み立ての鋼体に木材の内装を組み合わせた半鋼製の12メートル級車体を持っています。特に、窓の上部に補強用の帯板が隠されているノーシル・ノーヘッダータイプのデザインが特徴で、平滑な側面が美しい仕上がりとなっています。各扉には850mm幅の連接式2枚引き戸が採用され、快適なアクセスが可能です。

運行中は、定員96名を誇り、1両で在来の電動車と付随車のおおむね2編成分の輸送力を持つことで、利用客の増加にも応えました。ストリートカーとしての特性を活かし、日光に向かう観光客を多く運ぶ役割に貢献しました。

電装品と機械

この車両は、主電動機には東洋電機製造のTDK-532-Bを採用し、制御器は特に急勾配の区間を考慮したカスタマイズ版のDBI-LBK4が搭載されています。これにより、効率的な運行が実現されました。台車は住友金属工業製で、低床型2軸ボギー式を採用し、ブレーキシステムも最適化されていました。

運用の変遷

日光軌道線が廃止された後、岡山電気軌道に譲渡され、3000形として運行を継続しました。譲渡にあたっては、各種改造が施され、集電装置の変更や窓のアルミサッシへの変更が行われました。新しい環境でも岡山電気軌道の主力車両として利用されています。

現在の状況

現在では、3005、3007、3010の3両が在籍し、イベント用電車として活躍しています。これらの車両は、特別な塗装が施され、地域の観光資源としても人気を集めています。また、3010号車は無償譲渡の形で観光施設に展示されており、鉄道ファンからも注目されています。これにより、日光軌道線の歴史とともに、東武100形電車の遺産も引き継がれています。

まとめ

東武100形電車は、日光軌道線の重要な歴史的遺産として、路面電車の進化とともに多くの人々に利用されてきました。その senareでは岡山電気軌道としても生き続け、長い年月を経てもなお愛される存在であり続けています。

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