東沙諸島

東沙諸島とは

東沙諸島は、香港の南東約340kmに位置する南シナ海の環礁群です。東沙島、北衛灘、南衛灘、および周辺の環礁で構成されています。中華民国（台湾）が実効支配しており、台湾では東沙環礁国家公園および国立中山大学の一部として指定されています。

地理と構成

東沙諸島には、東沙環礁、南衛灘環礁、北衛灘環礁の三つの珊瑚環礁が存在します。東沙環礁は、環礁州島である東沙島を持つ円形の環礁で、直径は約20km、礁湖面積は約300km²です。南衛灘と北衛灘も円形の環礁ですが、東沙島以外の環礁は満潮時には水没するため、国際法上の「島」とはみなされません。

東沙島は元々無人島でしたが、現在は領有権主張のため、多くの中華民国国軍関係者が常駐しており、宿泊施設、テニスコート、飛行機の滑走路などが建設されています。

歴史

東沙諸島の歴史は古く、明代の記録に初めて登場します。1730年には清がこの諸島を版図に編入し、広東省恵州の管轄としました。その後、長い間無人島でしたが、19世紀末から20世紀初頭にかけて日本人が進出を試みました。

1866年、日本の幕府御用船が東沙島に漂着し、乗組員が中国漁民に救助される事件がありました。1901年には、玉置半右衛門がアホウドリ捕獲のため探検隊を派遣しましたが、アホウドリが生息していなかったため撤退しました。その後、水谷新六がカツオドリ捕獲を試みましたが失敗に終わりました。1907年、西沢吉治が島に進出し、グアノ採掘などを行いましたが、1909年に日本と清の間で領土問題化しました。最終的に、島は清国領となり、西沢の事業は清が買い取る形で決着しました。

第二次世界大戦中、日本海軍が気象観測施設を設置し、滑走路を建設しました。1945年、アメリカ海軍が上陸し、一時的に占領しましたが、戦後、中華民国国民政府が管轄下におきました。1979年からは高雄市に移管され、2000年からは海岸巡防署が管理しています。

2007年、中華民国政府は東沙環礁を国家公園に指定しましたが、一般観光客への開放はされていません。一方、中華人民共和国も領有を主張しており、現在も両国間で領有権問題が存在します。

2008年には中国漁船団が東沙島付近に漁船基地を構築する事件が発生し、台湾国民に衝撃を与えましたが、これは海岸巡防署によってすぐに撤去されました。

「平田群島」という誤謬

インターネット上では、第二次世界大戦中にこの島が日本軍によって占拠され、「平田群島」と改称されたという情報が広まっていますが、これは誤りです。平田群島という名称は、戦前の新聞記事による誤報が原因であり、東沙諸島を指すものではありません。また、戦前から戦中にかけて、日本の公式見解では、東沙諸島は中華民国（汪兆銘政権）の領有とされており、日本が領有を主張した事実はありません。

東沙島の詳細

東沙島は、約2,800m×860mの大きさで、陸地部約1.74km²、潟湖面積は約0.64km²です。淡水があり、樹木が生い茂っています。東沙諸島の中で唯一の島であり、南海諸島の中でも代表的な島です。現在は多くの建物や滑走路が建設されており、中華民国が実効支配しています。

2010年には外国メディアに初めて公開され、軍関係者や研究者が100人以上常駐していることが報道されました。

東沙空港

東沙空港は、全長1,550mの滑走路を有し、中華民国空軍のC-130輸送機が補給のために飛来します。東沙島と台湾本島を結ぶ重要な交通手段となっています。

主な施設

• - 国立中山大学東沙環礁研究ステーション
• - 東沙大王廟
• - 東沙島地籍測量紀念碑
• - 東沙図書館(20500冊)
• - 長青亭
• - 国軍東沙公墓

通信業務

東沙群島の郵便番号は「817」で、中華民国国軍郵局「67局」が設置されています。

もう一度検索