東泉寺 (下呂市)

東泉寺は、岐阜県下呂市火打に位置する臨済宗妙心寺派の寺院で、光明山を山号としています。本尊は薬師如来です。

寺伝によれば、天文年間（1532年から1555年）に、当時の桜洞城主であった三木良頼が、禅昌寺の四世住職である希菴玄密を招き、開山したとされています。この際、寺の領地として五畝十五歩が与えられました。

創建当初、寺の境内が開けた場所にあったことから、山号を切明山と称していましたが、後に現在の光明山、寺号も東泉寺に改められました。

境内には、本堂の他に青面金剛童子を祀る庚申堂があります。寺宝としては、江戸時代に作られた木造の薬師如来坐像や、東嶺和尚が筆を執った紙本墨書出山釈迦図、白隠禅師の書跡、印版大般若経、そして駕籠などが所蔵されており、これらの多くは下呂市の文化財に指定されています。これらの寺宝は、東泉寺の歴史と文化を今に伝える貴重なものです。

また、東泉寺の境外仏堂として、焼石の囲繞堂（本尊：観世音菩薩）、火打の真如堂（本尊：観世音菩薩）、そして門和佐の説現堂（本尊：地蔵菩薩）があります。これらはそれぞれ、益田三十三観音霊場の5番、7番、8番札所となっており、多くの巡礼者が訪れます。これらの仏堂は、地域住民の信仰の中心であり、東泉寺と深い関わりを持っています。

東泉寺は、その歴史と文化、そして美しい自然に囲まれた環境から、訪れる人々に安らぎと心の癒しを与えています。戦国時代から現代まで、地域の歴史を見守り続けている寺院です。

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