東海林克彦

東海林 克彦

東海林 克彦（しょうじ かつひこ）氏は、日本の農学者として知られ、自然環境の保全や動物愛護管理、さらには造園学や景観学といった幅広い分野で研究と実践を重ねています。1959年、山形県鶴岡市に生まれた東海林氏は、これらの分野における日本の第一人者の一人です。

経歴

東海林氏のキャリアは、学術と行政の両面で形成されてきました。1977年に新潟大学農学部林学科に入学し、自然環境に関する基礎を築いた後、1981年の卒業を経て、さらなる研鑽のため東京大学大学院農学系研究科修士課程に進学しました。大学院修了後の1983年には環境庁（現在の環境省）に入庁し、環境行政の現場で活躍します。自然環境局において、動物愛護管理室長や生物多様性センター長など、要職を歴任しました。特に動物愛護管理においては、法制度の整備や運用に深く関わり、日本の動物行政の発展に大きく貢献しました。

行政官としてのキャリアを積み重ねる傍ら、学術的な探求も怠りませんでした。1998年10月12日には、東京大学より博士（農学）の学位を取得しています。この時の博士論文の題目は「自然環境アセスメントにおける評価基準の設定に関する研究」であり、環境影響評価における科学的かつ客観的な評価手法の確立に向けた重要な貢献となりました。

環境省での奉職を終え、2007年3月に退職した後、東海林氏は教育・研究の世界にその活動の場を移します。同月、東洋大学国際地域学部国際観光学科の教授に就任。ここでは、これまでの行政での経験や専門知識を活かし、学生への教育と研究指導にあたっています。その後、東洋大学の副学長にも就任し、大学運営においても重要な役割を担っています。

社会貢献

大学での活動に加え、東海林氏は社会における専門知識の普及と実践にも尽力しています。2012年12月からは、公益社団法人日本愛玩動物協会の会長を務めており、ペットと人間のより良い関係構築や、動物福祉の向上に向けた活動を推進しています。これは、環境省時代から一貫して取り組んできた動物愛護の精神に基づいています。

受賞歴

長年の研究と実践は高く評価されており、いくつかの栄誉ある賞を受けています。1996年には日本造園学会賞の研究論文部門研究奨励賞を受賞し、造園学分野における研究業績が認められました。また、2019年には田村剛賞を受賞しており、これも自然保護や造園分野における功績が称えられたものです。

主な著作・論文

東海林氏は、その広範な専門分野に関する多くの著作や論文を発表しています。著書としては、動物愛護管理法の改正に関する詳細な解説書である「改正動物愛護管理法Q＆A」があります。共著書も多数あり、「自然環境アセスメント技術マニュアル」、「平成日本景観集一人の暮らしと国土の風景」、「自然公園等における利用拠点の整備計画作成マニュアル」、「匠の里体験学習マニュアル」など、環境評価、景観、自然公園、環境教育といった多岐にわたるテーマを扱っています。

論文も精力的に執筆しており、パブリックコメント制度、皇居外苑の利用空間、環境行政における動物の保護管理の考え方、動物愛護の対象となる動物の範囲など、行政経験や専門分野に基づいた実践的かつ理論的な内容が多く見られます。また、共著論文として、景観シミュレーションや景観解析手法の比較研究なども行っており、共同での学術研究にも積極的に取り組んでいます。

まとめ

東海林克彦氏は、環境省での行政経験と大学での研究教育活動、そして公益社団法人での社会貢献活動を通じて、日本の自然環境保全、動物愛護管理、造園学、景観学といった分野の発展に多大な貢献をしてきた農学者です。その知見と経験は、現代社会が直面する環境問題や人と動物の関係性といった課題に対して、重要な示唆を与えています。

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