東芝府中野球部

東芝府中野球部

東芝府中野球部は、かつて東京都府中市に本拠地を構え、日本野球連盟に加盟していた社会人野球の企業チームです。1954年の誕生から1999年の活動終了まで、約45年間にわたり日本の社会人野球界で significant な足跡を残しました。

チームの歩み

チームの源流は、1946年に東芝府中事業所で始まった軟式野球部に遡ります。この軟式チームはやがて実力をつけ、硬式野球の「全府中」チームへ選手を送り出すほどになりました。こうした状況を受け、本社に存在する硬式野球部とは別に、事業所独自の硬式チームを設立する運びとなり、1954年に「東芝府中野球部」が正式に産声を上げました。チームが使用したグラウンドの整備には、隣接する府中刑務所の受刑者が協力したというエピソードも伝えられています。

創部から23年を経た1976年、チームは初めて社会人野球の最高峰である都市対抗野球大会への出場を果たしました。その後、1979年と1980年には2年連続で大会ベスト8に進出するなど、全国の舞台でその存在感を示しました。しかし、翌1981年からは苦難の時期を迎え、9年連続で都市対抗本大会への出場を逃すという低迷を経験し、一時はチームの活動休止も検討されるほどの危機に直面しました。

この困難を乗り越え、若手選手の台頭によりチームは再び活力を取り戻します。1990年には9年ぶりとなる都市対抗の舞台に立ち、見事ベスト8に進出。翌1991年には、チーム史上最高となるベスト4まで躍進を果たしました。特に強力な打線は「野武士打線」と称され、相手チームから恐れられました。1994年にも再び都市対抗でベスト8入りを果たすなど、90年代に入ってからも強豪としての地位を維持しました。

チームの終焉と継承

輝かしい実績を残してきた東芝府中野球部でしたが、1999年の都市対抗野球大会を最後に、チームはその歴史に幕を下ろすことになりました。活動は東芝本社野球部に引き継がれる形で終了しました。チームに所属していた32名の選手のうち、移籍枠の制限なく、シドニーオリンピック日本代表にも選ばれた平馬淳選手を含む9名が東芝本社野球部へ、1名が大阪ガスへと移籍し、それぞれの野球人生を続けました。

主な大会成績

東芝府中野球部は、都市対抗野球大会に合計10回出場し、最高成績は1991年のベスト4でした。また、社会人野球日本選手権大会には2回出場しています。その他の大会では、1996年のJABA伊勢大会で優勝、1987年のJABA関東選抜リーグでも優勝を飾っています。

チームを彩った選手たち

多くの実力派選手が東芝府中野球部でプレーしました。中には、プロ野球界へと進んだ著名な選手も多数います。

主な出身プロ野球選手

落合博満（内野手） - 1978年ドラフト3位でロッテオリオンズへ
田中力（捕手） - 1983年ドラフト2位でロッテオリオンズへ
金敷一美（外野手） - 1983年ドラフト6位でヤクルトスワローズへ
伊藤優（投手） - 1984年ドラフト6位指名後、1985年オフにロッテオリオンズへ入団
初芝清（内野手） - 1988年ドラフト4位でロッテオリオンズへ
部坂俊之（投手） - 1998年ドラフト4位で阪神タイガースへ
清水直行（投手） - チーム統合により東芝へ移籍後、1999年ドラフト2位で千葉ロッテマリーンズへ
戸部浩（投手） - チーム統合により東芝へ移籍後、1999年ドラフト3位で千葉ロッテマリーンズへ

かつて在籍していた主な選手

平馬淳（内野手） - シドニーオリンピック日本代表
藤田明彦（外野手） - 東芝府中コーチ、監督を経て東洋大姫路高校野球部監督
* サード長嶋 - 俳優としても活躍

東芝府中野球部は、その歴史の中で多くの野球ファンに感動を与え、日本の社会人野球史に確かな足跡を残しました。

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