東西定期航空会

東西定期航空会とは

東西定期航空会（とうざいていきこうくうかい）は、1923年から1929年にかけて東京と大阪の間で航空輸送を行った歴史的な航空会社です。この会社は朝日新聞社が設立し、その業務には郵便と旅客の輸送が含まれていました。設立当初、白戸栄之助や伊藤音次郎といった飛行士や整備士が参加し、航空事業を支える重要な役割を果たしました。

設立の背景と初期の運航

航空会は、帝國陸軍航空隊から払い下げられた中島式5型機によって運航を始めました。しかし、1923年1月9日に発生した墜落事故は、業務の開始直後に悲劇的な影を落としました。この事故で機長が死亡し、日本の民間航空史上初の犠牲者となりました。それでも、わずか2日後の1月11日には東京と大阪の間で週1便の郵便輸送がスタートしました。この際、国から支給される補助金を活用し、商業活動を展開したのです。

運航初日は、大阪の城東練兵場から浜松の三方が原を中継し、最終目的地の東京府東京市洲崎までの飛行が行われました。この便では、皇室に献上する鮮魚の籠や一般郵便物が運ばれましたが、霧の影響で着陸時に機体が損傷するというトラブルもありました。

業務の拡大

1926年には、中島式5型機を新たに増備したことにより、週3回の運航に増便されました。この頃、朝日新聞社の航空部が新たに設立され、報道活動でもその機体が利用されるようになりました。会社の成長を見せる中、1928年8月に導入されたドルニエ コメットは、東京府の立川飛行場と城東練兵場間で定期旅客輸送を開始しました。定員6人のこの飛行機の運賃は35円であったのに対し、東京と大阪間の特急列車の三等車はわずか7円で運行されていました。

合併とその後

1929年3月31日、東西定期航空会は日本航空株式会社に吸収合併されることになります。この日本航空は、現在のJALとは異なる会社であり、政府の主導での統合が要因でした。東西定期航空会はその6年間で4009回の飛行を行い、総飛行時間は5767時間に達しました。

後にドルニエ コメットは、1935年から1936年にかけて朝日新聞によって「空飛ぶ編集室」として利用され、その後は東京の有楽町にあった朝日新聞社本社の屋上に展示されることになりました。

現代の影響

大東亜戦争（第二次世界大戦）後、朝日新聞の航空部からは美土路昌一や中野勝義らによって興民社が設立され、これが後に日本ヘリコプター輸送へと繋がります。現在では合併が進み、全日本空輸という会社が誕生し、朝日新聞はその持株会社であるANAホールディングスの大株主として深い関係にあります。また、航空部は今も存在し、2011年には新たに航空機使用事業を開始しました。

このように、東西定期航空会の歴史は、民間航空の発展において重要な位置を占めており、その影響は現代においても感じられています。

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