東赤石山

東赤石山：愛媛の秘境、法皇山脈の峰

概要

東赤石山は、愛媛県東部に位置する標高1710mの山です。法皇山脈の主峰として君臨し、日本二百名山、花の百名山、四国百名山に選定されています。その名の通り、赤茶けた岩肌が特徴的で、独特の高山植物も数多く生育しています。古くから鉱山として利用され、現在も登山客を魅了する山として知られています。

地質と植生

東赤石山は、三波川変成帯に属し、超塩基性岩であるかんらん岩が広く分布しています。このため、「東赤石山かんらん岩体」と呼ばれ、地質学的な観点からも貴重な存在です。北側の斜面には、「五良津岩体」と呼ばれる地域があり、角閃岩やエクロジャイトなど、高圧下で生成された変成岩が見られます。

山頂付近には、オトメシャジンをはじめとする、この山特有の高山植物が咲き誇り、登山者の目を楽しませます。赤茶けた岩肌は、鉄分を含むかんらん岩が酸化された結果であり、東赤石山の象徴的な景観を作り出しています。


登山ルートと歴史

かつては、嶺北側（旧土居町側）の赤石鉱山を経由するルートが一般的でした。この鉱山は、クロム鉄鉱やダンかんらん岩の採掘が行われており、1980年頃まで稼働していました。しかし、五良津林道の水害による荒廃を受け、現在では嶺南側（旧別子山村側）からのルートが主流となっています。

現在では、筏津や瀬場からのルート、そして床鍋から権現越を経由するルートなどが利用されています。床鍋ルートは、序盤は植林帯の中を進む比較的穏やかな道ですが、中盤以降は傾斜がきつくなり、終盤は岩場となるため、注意が必要です。一方、筏津・瀬場ルートは、序盤は落ち葉が多く滑りやすい箇所もありますが、中腹以降は比較的歩きやすい岩石質の道となります。嶺北側からは、五良津尾根の送電線保線路を利用して権現越に至るルートもあります。


山頂と周辺

山頂には、東側ピーク（標高1706m）に三等三角点「赤石」が設置されています。しかし、西側ピークの方が高く、国土地理院の地図では1710mと記載されています。山頂からは、八巻山など、周辺の山々を一望することができます。山頂付近には、かつて山小屋「赤石山荘」がありましたが、現在は廃墟となっています。


アクセスと注意点

東赤石山へのアクセスは、それぞれの登山口によって異なります。それぞれのルートの難易度や特徴を事前に確認し、自身の体力や経験に合ったルートを選択することが重要です。また、登山道は整備されている箇所とそうでない箇所があり、急斜面や岩場など危険な箇所も存在するため、十分な注意が必要です。装備についても、登山靴、雨具、食料、水など、万全の準備をして臨むことが大切です。


まとめ

東赤石山は、豊かな自然と歴史、そして独特の地形が織りなす魅力的な山です。登山道は複数存在し、それぞれのルートに異なる特徴があります。自身の体力や経験、好みに合わせてルートを選ぶことで、より充実した登山体験となるでしょう。ただし、安全面には十分注意し、計画的に登山を行うことが重要です。 東赤石山への挑戦は、忘れられない思い出となるに違いありません。

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