東郷実友

東郷実友

東郷実友（とうごう さねとも）は、江戸時代後期の薩摩藩士であり、日露戦争で活躍した東郷平八郎の父として知られています。

生涯

文化2年（1805年）に東郷重友の息子として生まれました。水野流居合を篠崎七郎左衛門正心から学び、その腕前は皆伝を受けるほどでした。藩士としてのキャリアは御小姓与から始まり、後に一代小番へと昇進しています。

天保10年（1839年）には郡奉行見習となり、嘉永4年（1851年）には島津斉彬の入国に供奉しました。弘化4年（1847年）には郡奉行に任命され、安政6年（1859年）には島津斉彬が指宿で行った井戸の増設を記念する碑を、指宿郷の上山氏や郡奉行所の同僚とともに二月田温泉に建立しました。文久元年（1861年）には、指宿郷の防砂事業に関する上申書を藩に提出するなど、領地経営にも尽力しました。

文久2年（1862年）の薩英戦争では、五男の四郎左衛門を除く子息とともに参戦。自身は山川郷の山川砲台に配置され、他の子息らは鹿児島城下藩主本営に詰めていました。元治元年（1864年）には高奉行に昇進し、後に納戸奉行も務めました。慶応3年（1867年）に平八郎と四郎左衛門が分家し、同年11月20日に鹿児島城下で亡くなりました。

家族・親族

養祖父：東郷実昌
父：東郷実愛（東郷実昌の養嗣子、篠崎七郎左衛門正房の子）
母：大河平順良の娘
妻：益子（堀与三左衛門の三女）
兄弟：篠崎七左衛門の妻、大河平実次、柴山國貞の妻
子女：五男一女
長男：東郷実猗
次男：祐之進（夭折）
三男：小倉壮九郎知周
四男：東郷平八郎
* 五男：東郷実武

人物・逸話

実友は、その誠実で真面目な人柄で知られていました。また、海外事情にも関心が高く、外国船の無礼な振る舞いを憂い、

異国の船 くつかへせ 諸人の祈る 誠を知れよ神風

という歌を詠んでいます。

東郷家屋敷

「鹿児島城下絵図散歩」によれば、東郷家の宅地は現在の鹿児島県鹿児島市加治屋町にあり、広さは267坪でした。「聖将東郷全傅」には、屋敷の様子が詳細に記述されています。竹垣に囲まれた屋敷には、八畳三間、六畳四間、四畳二間、二畳二間の家屋があり、納戸、物置、台所、土間なども備わっていました。庭には松の木があり、氏神を祀った小祠や紅白の梅の木が植えられていました。しかし、東郷家の屋敷は西南戦争で焼失してしまいました。隣には伊東茂右衛門祐之が住んでいました。

まとめ

東郷実友は、薩摩藩士として藩政に尽力する傍ら、海外事情にも目を向け、子息である東郷平八郎を育て上げました。その生涯は、幕末の激動期における地方武士の姿を伝えています。

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