東門町 (台北市)

東門町は、日本統治時代の台北市における行政区の一つで、台北城の東側に位置していました。現在の台北市中心部、具体的には徐州路、仁愛路一、二段、信義路二段などに相当するエリアに広がっていました。

この地域は、当時、様々な重要な施設が集まる場所でした。例えば、日本赤十字社台湾支部が置かれ、その関連施設として赤十字病院がありました。この赤十字病院は、現在の国立台湾大学医学部附属医院の前身にあたります。医療機関として重要な役割を担っていたことが伺えます。

また、教育機関としては、台北帝国大学附属医学専門部が設置されていました。この施設は、後の国立台湾大学医学部のルーツとなっており、台湾における医学教育の発展に大きく貢献しました。

さらに、地域住民の生活に密着した施設として、東門水泳場がありました。この水泳場は、現在では台北市中正運動センターとして利用されています。学校としては、旭小学校が存在し、現在の東門国民小学としてその歴史を受け継いでいます。

宗教施設としては、曹洞宗大本山台北別院が建立されました。この寺院は、現在では東和禅寺として知られています。また、私立台北中学校もこの地域に存在し、現在の私立泰北中学へと繋がっています。

文化的な施設としては、文化村があり、人々の交流や文化活動の拠点となっていました。そして、生活物資の調達の場として、東門町市場が存在しました。この市場は、現在でも東門市場としてその賑わいを伝えています。

行政機関としては、東門町出張所が設置され、地域住民の行政サービスを担っていました。この出張所は、現在の台北東門郵局としてその役割を継承しています。

東門町は、行政、医療、教育、文化、生活など、多岐にわたる施設が集中した地域であり、当時の台北における重要な場所であったと言えるでしょう。これらの施設は、現在もその多くが形を変えながらも利用され、歴史的な遺産として大切にされています。東門町の歴史を辿ることは、台湾の近代史を理解する上で、非常に重要な視点を提供してくれます。

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