東鯖江駅

東鯖江駅：福井鉄道鯖浦線の面影をたどる

福井県鯖江市旭町に位置していた東鯖江駅は、現在は廃駅となっており、その面影は完全に消え去っています。かつて福井鉄道鯖浦線に属していたこの駅は、昭和初期の活気ある鉄道風景の一端を担っていました。しかし、時代の流れとともに姿を消し、今では静寂の中にその存在を偲ぶばかりです。

簡素な地上駅

東鯖江駅は地上駅であり、列車交換は不可能な小さな駅だったと推測されます。正確な駅舎の構造は現存する資料が乏しいため不明瞭ですが、規模は小さく、簡素なつくりであったと考えられます。駅構内には車両基地のような施設があったという情報も伝わっていますが、これも詳細は分かっていません。多くの資料が失われた結果、具体的な様子を知る手がかりは少ないのが現状です。

鯖浦線の歴史と東鯖江駅の役割

東鯖江駅が開業したのは、大正15年（1926年）10月1日。鯖浦電気鉄道の駅として誕生しました。その後、昭和20年（1945年）8月1日には会社合併により、福井鉄道鯖浦線の駅となりました。この駅は、鯖江駅と南水落駅（初代水落駅は昭和34年7月19日まで）を結ぶ路線上に位置し、地域住民の足として重要な役割を果たしていたと考えられます。

廃止と北陸本線の複線電化

東鯖江駅は昭和37年（1962年）1月25日、鯖江駅から水落信号所間の廃線に伴い廃止されました。廃止の背景には、北陸本線の複線電化工事が挙げられます。この大規模な工事は、鉄道網の近代化に大きく貢献した一方、多くのローカル線の廃止という犠牲も伴いました。東鯖江駅もその犠牲の一つとなり、静かに歴史の幕を閉じました。

現代に残る痕跡

現在、東鯖江駅の名を留めるものは何も残っていません。かつて駅があった場所を示す標識や記念碑なども見当たりません。駅周辺の土地利用も変化し、往時の面影を探ることは困難です。しかし、古い写真や文献、そして地元住民の記憶の中に、東鯖江駅は確かに存在し、地域社会に貢献していた証として生き続けています。

参考文献

* 島津敞史『汽笛百年ふくい鉄道史』

まとめ

東鯖江駅は、その短い歴史の中で、地域住民の生活に密着した存在でした。駅舎の正確な構造や、駅周辺の様子を知ることは困難ですが、残された資料や証言から、その存在を想像することができます。東鯖江駅は、廃線となった鯖浦線の歴史を語る上で欠かせない存在であり、日本の地方鉄道の歴史を研究する上で貴重な事例と言えます。 東鯖江駅の歴史を辿ることは、近代日本の地方社会の変化を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

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