杵屋五三郎 (3代目)

三代目 杵屋五三郎の生涯と業績

三代目杵屋五三郎（さんだいめ きねや ごさぶろう）は、1918年12月11日に東京都文京区本郷に長唄笛方の望月長之助の次男として誕生しました。本名は増田元弘（ますだ ちかひろ）で、歌舞伎の長唄三味線方として著名な人物です。彼の家族には、同じく長唄の演者である妹の杵屋五三遊がいます。彼は日本の伝統音楽の重要な担い手として、多くの功績を残しました。

経歴の歩み

1933年に初代杵屋五三郎に入門し、音楽の道に進むことを決意。1936年には初代杵屋五三助を名乗り、その後の1949年には兵役を経て山田抄太郎に師事します。このような多様な学びの経験を活かし、1978年には三代目杵屋五三郎を襲名し、杵五派の家元としての地位を確立しました。彼のキャリアは、長唄の技術の継承と発展に注力するものであり、特に秘曲や難曲、大曲などの古典音楽の上演を通じて、その魅力を広めつつありました。

重要文化財の保持者

1989年には、重要無形文化財である「長唄三味線」の保持者に認定され、さらには「人間国宝」としてその名を刻み込みました。彼の芸術家としての貢献は広く認められ、2005年には日本芸術院の会員に選出されています。

受賞歴と栄典

三代目杵屋五三郎の活動は多くの賞で評価されており、1960年の芸術祭賞奨励賞から始まり、1973年には芸術祭賞大賞、1976年には優秀賞を受賞。1985年には松尾芸能賞、さらに1986年にはモービル音楽賞を獲得しました。1992年には日本芸術院賞を受賞するなど、数々の栄誉に輝きました。また、1985年には紫綬褒章、1989年には人間国宝としての称号を得て、1992年には勲四等旭日小綬章を授与されています。2013年には旭日中綬章が追贈され、同年に従四位を受章しています。

主な作曲作品と遺産

彼の音楽的な遺産には、多くの作曲作品が残されており、その中でも『日月星』や『筧の水』は有名です。これらの作品は、長唄三味線の魅力を伝える重要な楽曲となっています。

生涯の終わり

三代目杵屋五三郎は2013年2月2日に94歳で肺炎のために逝去しました。彼の人生は、長唄三味線という日本の伝統音楽の宝物を守り、次世代へと引き継ぐための尽力に捧げられており、その功績は永遠に人々の記憶に残ることでしょう。彼の業績は多くの人々に影響を与え、長唄の世界における重要な存在であり続けています。

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