松任城

松任城の歴史と遺構

松任城（まっとうじょう）はかつて加賀国石川郡に位置していた日本の城で、現在の石川県白山市古城町にあたります。この城は、鎌倉時代初期に松任範光によって築城されたと伝えられています。

松任城の歴史の中で特に注目されるのは、長享の時代に鏑木繁常が城主となったことです。この城は戦国時代に上杉謙信によって攻撃を受け、1577年には手取川の戦いの際に落城したとの記録もあります。上杉謙信は城将を松任に派遣し、一向宗の勢力と連携して織田軍に対抗しました。その後、御館の乱を経て上杉氏の影響力が加賀で低下し、1580年には柴田勝家が松任城を再び落城させ、家臣の徳山則秀が城を受け継ぎました。

1583年には、賤ヶ岳の戦いの恩賞として前田利長が松任の4万石を与えられ、越前府中城からこの地に移りました。さらに、富山の役の恩賞として越中3郡を与えられた利長は、後に事態に対応した丹羽長重を松任へ配属しましたが、その後加増を受けて小松城に転任しました。江戸時代に入ると、一国一城令の影響で松任城は廃城となりました。

松任城がかつて存在した場所には、1924年に石川郡役所が設置されました。その後、郡制が廃止され、松任警察署や町立の図書館が整備されました。これらの建物はその後取り壊され、公園として整備されることになりました。2010年には松任駅周辺の再開発が進められ、その一環として松任城址公園が整備され、2011年4月15日には一般開放されました。

現在、松任城址公園には城跡の本丸内堀を示す一部の石垣が復元されており、訪れる人々に歴史を感じさせる空間を提供しています。ただし、それ以外の城の遺構はほとんど残されていません。公園内には、曲輪や土塁跡、櫓台跡、さらには「松任城址」碑と灯篭、城の俯瞰図が存在しており、歴史愛好家や観光客にとって興味深いスポットとなっています。特に、歌碑には「残雪や　天正の日の　大手先」と記され、当時の情景を思い起こさせます。

松任城址公園の周辺には白山市立松任図書館や松任駅、松任郵便局、博物館、金剣宮、信誠寺といった多くの施設があります。アクセスも良好で、IRいしかわ鉄道線の松任駅から徒歩5分、また自動車では北陸自動車道の白山ICまたは徳光スマートICからのアクセスが容易です。この地は歴史が感じられる場所として、訪れる価値のあるスポットといえるでしょう。

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