松前修広

松前修広：激動の時代を生きた最後の松前藩主

松前修広は、江戸時代後期の1865年、松前藩第13代藩主・松前徳広の長男として誕生しました。幼少期は勝千代と名乗り、華やかな江戸での生活を送ったと推測されます。しかし、彼の生涯は、激動の幕末から明治維新へと続く時代と深く結びついていました。

1868年、戊辰戦争が勃発します。父・徳広と共に旧幕府軍に属し、戦乱の渦中に巻き込まれ、敗走を余儀なくされました。同年11月、父が死去すると、修広は家督を継ぎ、わずか19歳で松前藩の藩主となりました。

明治政府への恭順を表明した松前藩は、政府軍として福山城（松前城）奪還作戦に参加し、成功を収めます。この功績は、修広の政治的立場を安定させることに貢献しました。1869年6月、版籍奉還により知藩事となり、藩名は舘藩と改称されました。さらに、戊辰戦争での功績が認められ、新政府から賞典禄2万石が与えられ、3万石の藩知事となりました。

幼名は勝千代、のち兼広と名乗っていましたが、1871年には修広と改名しています。同年、廃藩置県により知藩事を免職され、明治政府の下での新たな生活が始まりました。しかし、順風満帆とはいかず、1877年には証券印紙税則違反で逮捕され、罰金を科せられました。

私生活では、本多藤子、南部貴子と結婚し、数人の男子をもうけています。子息たちは、それぞれ松前家としての役割を担っていったことでしょう。

政治的な活動以外にも、修広は爵位を得ています。1884年には子爵に叙せられ、華族として認められました。さらに伯爵への昇爵を願いましたが、叶いませんでした。

1905年、修広は41歳という若さで生涯を閉じました。彼の短い生涯は、激動の時代を生き抜いた最後の松前藩主としてのドラマであり、幕末から明治へと続く日本の歴史の一端を担った人物として記憶されています。

栄典:

1873年（明治6年）12月8日 - 銀盃一個
1889年（明治22年）11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章
1895年（明治28年）12月20日 - 従四位

家族:

父: 松前徳広
母: 内藤光子、内藤寿子（内藤正縄の娘）
妻: 本多藤子（本多助実の娘）、南部貴子（南部利剛の娘）
* 子女: 松前勝広、松前興広、松前亮広、松前俊広、松前福広

松前修広の生涯は、単なる藩主の物語ではなく、激動の時代を生き抜いた一人の人間のドラマとして、そして日本の近代化という大きな流れの中で重要な役割を果たした人物の一生として、今なお私たちに多くのことを語りかけてきます。彼の功績と苦難は、歴史の教科書に刻まれただけでなく、北海道の歴史、ひいては日本の歴史を理解する上で重要な手がかりとなるでしょう。

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