松前小島灯台

松前小島灯台

北海道松前郡松前町の西方約23キロメートルの沖合に位置する孤島、渡島小島（おしまこじま、別名：松前小島）に建つ灯台が、松前小島灯台（まつまえこしまとうだい）です。この灯台は、周辺を航行する船舶の安全確保に重要な役割を果たしています。

歴史

松前小島灯台がその光を初めて放ったのは、今から一世紀近く前の1923年（大正12年）10月1日のことでした。大正時代に設置されたこの灯台は、当時の技術をもって困難な離島の設置場所を選び、航路標識としての使命を担い始めました。

設置当初は職員が常駐して管理・運用が行われていましたが、航路標識の自動化技術が進歩したことにより、1975年（昭和50年）には無人化されました。これにより、灯台の維持管理は遠隔で行われるようになり、人的な常駐は不要となりました。

2017年の事件

無人化されて久しい松前小島灯台ですが、2017年（平成29年）11月に特異な事件が発生し、全国的な注目を集めました。事件は、島に漂着した北朝鮮の木造船に乗っていた複数の乗組員によるものでした。

彼らは灯台施設に侵入し、建物の扉を保護していた南京錠を破壊しました。施設内部からは、灯台の運用や管理に用いられる様々な物品が持ち去られました。盗難被害に遭ったのは、電力供給のための携帯発電機をはじめ、冷蔵庫、ガスコンロ、ガスボンベといった生活や設備維持に必要な道具類でした。さらに、灯台の電源を供給するソーラーパネルの一部も取り外されており、設備の機能に直接影響を及ぼすものでした。この事件は、離島にある無人施設の脆弱性を浮き彫りにするとともに、改めて灯台の存在意義や管理体制について考えるきっかけとなりました。

事件後、被害を受けた灯台施設は復旧され、再び航路標識としての機能を果たしています。このような事件は極めて稀ですが、離島という地理的な特性上、外部からの侵入や被害に対する対策の重要性が再認識されました。

灯台の役割と現状

現在、松前小島灯台は無人ながらも、周辺海域を航行する船舶にとって引き続き重要な存在です。最新の技術によって遠隔監視・制御が行われており、昼夜を問わず沖合の安全な航海をサポートしています。厳しい自然環境の中に立つ離島の灯台を維持管理することは、設備の老朽化対策や、予期せぬ事態への対応など、常に課題を伴います。

関連項目・外部リンク

松前小島灯台に関連する情報としては、北海道内の他の灯台や、灯台が立つ渡島小島自体の情報、そして近隣の渡島大島や松前大島灯台などが挙げられます。詳細な情報や現況については、函館海上保安部が提供する松前小島灯台に関する公式情報などを参照することができます。

この灯台は、単なる航路標識としてだけでなく、大正時代からの長い歴史や、近年の特異な事件といった側面からも、語られるべき存在と言えるでしょう。

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