渡島小島

渡島小島

「渡島小島（おしまこじま）」は、北海道南西部の松前郡松前町からおよそ24キロメートル沖合に位置する無人の島です。別名を「松前小島（まつまえこじま）」とも称され、同じく松前沖にある渡島大島との対比によります。住所は島全体が松前町小島となっており、特に島の南端は離島を含めた広義において、北海道の最も南にあたる地点として知られています。面積はおよそ1.54平方キロメートル、周囲は約4キロメートルの小さな島です。

この島は大部分が安山岩で形成され、頂上にはかつての火口跡とされるくぼみがあります。周囲は波浪による海食で険しい崖となっています。

渡島小島は海鳥の宝庫で、ケイマフリやウミウ、ウミネコなどが繁殖地として利用します。島内にはイタヤカエデ類主体の森林や冷温帯性の草原が広がります。貴重な生態系が評価され、「松前小島」として国の天然記念物（天然保護区域）に指定されています。

近海での漁船操業が多いため、悪天候時の避難や休憩場所として小島漁港（第4種漁港）が整備されています。2017年時点では、漁協所有の管理小屋、発電機小屋などがあり、管理担当者が年間約50日滞在しました。無人の松前小島灯台も設置されています。

渡島小島は古くから知られ、夏季には漁を目的とする人々が多く島に渡りました。江戸時代には松前藩主の船の遭難や、漁業基地開設の記録があります。幕末にはトド漁や海藻漁が盛んに行われていました。昭和期には石川県からの海女も訪れ、昆布などを採取。現在でも、毎年7月20日には島の厳島神社で「島開き」が行われ、漁業者らが豊漁と安全を祈願します。

2017年11月、この無人島で事件が発生しました。北朝鮮籍とみられる木造漁船が不法侵入したのです。10名の搭乗員は、約10日間滞在し、施設に押し入り、家電、食糧、燃料、衣類などを盗み、設備を破壊。被害額は1000万円に上りました。事件は11月28日、警察ヘリが不審船を発見し発覚。翌29日、海保巡視船が木造船を発見し、乗組員が盗品を海に投棄しているのを確認、一部を証拠品として回収しました。木造船は函館港沖へ曳航。12月8日には函館港沖で逃走を図るも阻止されました。12月9日、北海道警察は窃盗容疑で船長ら3名を逮捕。残る7名のうち1名入院、6名は入管へ。札幌地検は12月28日に船長を起訴し、2018年3月27日、函館地裁は船長に有罪判決を言い渡し、乗組員10名全員が強制送還されました。被害施設の復旧は、設立された協議会への寄付により進められました。

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