渡島大島

渡島大島の概要

渡島大島（おしまおおしま）は、日本の北海道松前町に属する無人島で、松前大島（まつまえおおしま）とも呼ばれています。この島は松前町の西側、約50km沖合いに位置し、全域が松前郡松前町大島として登録されています。

地理的特性

渡島大島はおおよそ9.73km²の面積を持ち、日本の施政下で最大の無人島として知られています。特徴的な地形は、北に開いた馬蹄形のカルデラとその中に形成された大規模なスコリア丘から構成されており、最高峰は江良岳（737m）です。海底の深度は急峻で、島の近く約500mの地点で水深が100mに達します。また、島の西端は東経139度20分16秒で、北海道の最西端でもあります。

火山活動の歴史

無人島であることから、渡島大島の噴火活動についての詳細な記録は非常に限られています。記録が残されている中で、特に注目すべきは1741年8月27日に発生した寛保岳の大噴火です。この噴火後、津波が引き起こされ、対岸の熊石から松前まで広がり、結果として1,467人が犠牲になったとされています。さらに、本州に位置する津軽藩でも被害が出ており、最終的な死者数は2,033人に達しました。この津波は「寛保津波」として知られており、津波の高さは3mを記録しました。津波が発生した原因については、大規模な山体崩壊や火山性地震によるものなど、様々な説がありますが、気象庁は山体崩壊説を支持しています。

自然環境

渡島大島にはオオミズナギドリの北限の繁殖地としての重要性があり、日本国の天然記念物に指定されています。この島は松前矢越道立自然公園の一部でもありますが、戦前からの捕獲や、持ち込まれたネズミやウサギによる環境変化が原因で、オオミズナギドリの数は著しく減少しています。特に、これらの動物による食害や巣の占拠が深刻です。

交通とアクセス

無人島の特性上、渡島大島へのアクセス手段は存在しませんが、近くの海域で漁業を行う漁船によって活動が行われています。島の東部には2022年度に完成した漁港が設立されており、漁業の前進基地として利用されているほか、海が荒れた際の避難所としての役割も果たしています。また、島の南側には灯台と海上保安庁のヘリポートが設置されています。

ただし、漁港が設立された後も、活発な火山活動や自然保護の観点から、島への上陸には文化庁の許可が必要とされ、一般観光客にとって訪問は非常に困難です。

まとめ

渡島大島はその独自の地理的特性、歴史的な火山活動、そして特別な自然環境により、日本の無人島の中でも特に注目されています。今後もその自然を保護しつつ、火山に関する研究が進められることが期待されています。

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