松原一枝

松原一枝

松原一枝（まつばら かずえ、本名：古田 一枝、1916年1月31日 - 2011年1月31日）は、日本の作家。

生涯

山口県に生まれ、幼少期を大連で過ごす。大連弥生高等女学校、福岡女子高等専門学校（現福岡女子大学）を卒業後、結婚するも5年後に夫と死別。大蔵事務官として働きながら創作活動を続けた。

1970年、詩人・矢山哲治を描いた『お前よ美しくあれと声がする』で田村俊子賞を受賞。2011年1月31日、心不全のため東京都港区の病院で95歳で逝去。

満州での体験と通化事件

1944年、満州を一人旅した際に牡丹江の鏡泊湖で藤田実彦大佐と出会い、夕食を共にしたというエピソードがある。戦後、通化事件と藤田の関係を知り、事件に関する書籍を複数執筆。事件後の通化に潜入したジャーナリスト・門田隆将に事件の実態や関係者について紹介するなど、その研究は多岐にわたる。

松原一枝の作品は、満州という異郷での生活、戦争の悲劇、そして人間の内面を深く掘り下げたものが多く、歴史の影に埋もれた人々の声に耳を傾け、その姿を鮮やかに描き出した。

著書

故郷はねぢあやめ咲く（天佑書房、1942年）
雲は風を孕んで（天佑書房、1943年）
藤かゞみ（河出書房新社、1963年）
お前よ美しくあれと声がする（集英社、1970年、のち潮文庫）
藤田大佐の最後（文芸春秋、1972年）
万葉夫人（サンケイ新聞社出版局、1974年）
電灯が三回点滅した…（エイジ出版、1982年3月）
いつの日か国に帰らん（講談社、1983年4月）
今日よりは旅人か（文芸春秋、1985年2月）
今はもう帰らない 中国残留日本妻の四十年（海竜社、1986年7月）
大連ダンスホールの夜（荒地出版社、1994年10月、のち中公文庫）
中村天風「箴言」に学ぶ積極人生のすすめ（明石信吉共編著、日新報道、1994年5月）
中村天風先生積極人間の大原則 生き方が変わった幸運がひらけた（海竜社、1995年5月）
中村天風先生に学んだ強運をよぶ才能（海竜社、1997年3月）
中村天風活きて生きた男（中央公論新社、1999年4月）
改造社と山本実彦（南方新社、2000年4月）
通化事件 "関東軍の反乱"と参謀藤田実彦の最期 終戦秘史（チクマ秀版社、2003年8月）
幻の大連（新潮新書、2008年3月）
文士の私生活 昭和文壇交友録（新潮新書、2010年）

参考文献

「文藝年鑑」
* 「日本人名大事典」

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