松原亘子

松原亘子について

松原亘子（まつばら のぶこ）は、1941年1月9日生まれの日本の元労働官僚です。労働事務次官を退任後、駐イタリア大使や複数の企業の社外取締役を歴任しました。彼女は、日本の労働行政において重要な役割を果たし、特に女性の社会進出を促進する上で多大な貢献をしました。

生い立ちとキャリア

島根県出身の松原は、1959年に東京都立日比谷高等学校を卒業後、1964年に東京大学教養学部を卒業し、労働省に入省しました。東京大学在学中に国家公務員を志望し、一年留年して入省しています。当時は女性官僚が非常に少なかった時代で、同期の女性は厚生省の横尾和子氏、通産省の伊藤よし子氏など数えるほどでした。

労働省入省後、婦人局長、労働基準局長、労政局長などの要職を歴任し、1997年には女性初の労働事務次官に就任しました。これは、日比谷高校の同期である七瀬時雄氏の後任として次官に就任したという珍しいケースです。通常、霞が関では「次官の同期は去る」という慣例がありますが、松原は男女雇用機会均等法、育児休業法、介護休業法などの策定に中心的に関わった人物であり、その実績と能力が評価され、次官候補に選ばれました。彼女が次官に就任しなければ、その後、女性の事務次官は現れないだろうと言われるほどの逸材でした。

1998年に退官した後、駐イタリア兼アルバニア兼サンマリノ特命全権大使に任命されました。この人事は、外務省の不祥事が相次いでいた時期に、政権与党から外務省に対して、G8諸国の大使ポストの一つを外務官僚以外から選出するよう要求があったことが背景にあります。

2015年には、長年の功績が認められ、瑞宝重光章を受章しました。松原の愛称は「まつばら たんこ」で、夫の松原東樹氏も労働省の官僚で、日比谷高校の一年後輩で東京大学の同級生です。

学歴

1959年3月：東京都立日比谷高等学校卒業
1964年3月：東京大学教養学部国際関係論分科卒業
1967年：フルブライト奨学金でイリノイ大学大学院留学（1969年まで）

職歴

1964年04月：労働省入省
労働省婦人少年局婦人労働課企画官
1984年07月01日：労働省婦人局婦人政策課長
1987年03月05日：労働大臣官房国際労働課長
1990年01月16日：労働大臣官房審議官
1991年10月18日：労働省婦人局長
1995年06月21日：労働省労働基準局長
1996年07月12日：労働省労政局長
1997年07月01日：労働事務次官
1998年10月20日：退官
1999年04月：認可法人日本障害者雇用促進協会（現：独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構）会長
2002年09月24日：在イタリア特命全権大使
2002年11月：在イタリア特命全権大使 兼 在アルバニア特命全権大使 兼 在サンマリノ特命全権大使 兼 在マルタ特命全権大使（ - 2005年12月）
2006年01月：財団法人21世紀職業財団顧問
2006年06月：三井物産株式会社社外取締役（ - 2014年6月）
2006年07月：公益財団法人21世紀職業財団会長
2008年04月28日：株式会社大和証券グループ本社取締役
2014年11月：公益財団法人日本中小企業福祉事業財団会長（ - 2015年11月）
2015年06月：株式会社荏原製作所取締役（- 2021年6月 -）
2015年06月：株式会社荏原製作所指名委員会委員（- 2021年6月 -）
2017年02月14日：株式会社電通社外取締役（- 2020年3月 -）

社会的活動

内閣府沖縄振興開発審議会委員
財団法人日本カメラ財団評議員
ワーク・ライフ・バランス推進会議代表幹事
金融庁金融審議会委員
金融庁自動車損害賠償責任保険審議会委員
第30回ジャパンウィーク2005年イタリア・ナポリ実行委員会名誉顧問

松原亘子は、日本の労働行政において、特に女性の活躍を推進する上で重要な役割を果たした人物です。その功績は、今後も長く語り継がれるでしょう。

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