松尾章一

松尾章一

松尾章一（まつお しょういち、1930年 - ）は、日本の歴史学者で、法政大学の名誉教授です。専門は日本近代史であり、特に自由民権運動、日本ファシズム、近代天皇制国家と民衆の関係史といったテーマについて、研究を深めました。

経歴

松尾章一は、朝鮮の京城府で生まれました。法政大学大学院博士課程を1962年に単位修得満期退学し、その後、法政大学で助教授、教授として教鞭を執りました。1971年には、「自由民権思想の研究」で法政大学から文学博士号を授与されました。2001年に法政大学を定年退任し、名誉教授となりました。

研究内容

松尾章一の研究は、日本近代史における多様な側面を扱っています。自由民権運動の研究では、明治時代の自由民権思想の展開を詳細に分析し、その歴史的意義を明らかにしました。日本ファシズム史の研究では、戦前の日本におけるファシズムの形成過程や、社会に与えた影響について考察しました。また、近代天皇制国家と民衆の関係史では、天皇制が民衆の生活や意識にどのように浸透していったのかを、多角的に分析しています。関東大震災と戒厳令に関する研究では、震災後の社会状況と、戒厳令が発令された背景について、詳細な分析を行いました。

著書

松尾章一は、数多くの著書や論文を発表しています。主要な著書としては、以下のようなものがあります。

『自由民権思想の研究』(柏書房、1965年)
『日本ファシズム史論』(法政大学出版局、1977年)
『近代天皇制国家と民衆・アジア』(法政大学出版局、1997-98年)
『関東大震災と戒厳令』(吉川弘文館、2003年)
* 『歴史家 服部之總』(日本経済評論社、2016年)

これらの著書は、日本近代史研究における重要な貢献として評価されています。

共同研究・編著

松尾章一は、単著だけでなく、共同研究や編著も数多く手掛けています。戦後史やイデオロギーに関する研究、大阪事件関係史料の収集・編纂、自由燈の研究、中国人戦争被害者の戦後補償問題など、幅広いテーマに取り組んでいます。色川大吉、芳賀登、齋藤博との鼎談では、民衆史の発掘について、戦後史学史と自分史を通して議論しました。

評価

松尾章一は、日本近代史研究において、多大な貢献を果たした研究者として知られています。その研究は、日本近代史の理解を深める上で、重要な役割を果たしています。

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