松山フェニックス

松山フェニックス（まつやまフェニックス）

松山フェニックスは、愛媛県松山市を本拠地とする社会人野球のクラブチームです。日本野球連盟に加盟しており、愛媛県内では唯一の社会人野球チームとして活動しています。

設立の背景

チームの源流は、かつて松山市を拠点としていた企業チーム、NTT四国硬式野球部にあります。1999年、NTTグループの事業再編に伴い、西日本地域に点在していた野球部はすべてNTT西日本に統合される方針が示されました。これにより、愛媛県で唯一の企業チームであったNTT四国硬式野球部は廃部となることが決定しました。

地域の社会人野球の「火」を消してはならないという強い思いから、当時の千原監督をはじめとする関係者や野球を愛する有志たちが立ち上がりました。彼らの熱心な活動と尽力により、NTT四国の廃部から間もない2000年2月、クラブチームとして「松山フェニックス」が設立され、日本野球連盟への所属を果たしました。設立当初はNTT四国のOB選手を中心に構成されましたが、現在はNTTグループ以外の企業に勤務する選手が圧倒的に多くを占めています。

チーム運営と環境

クラブチームである松山フェニックスの運営は、松山市からの支援や地元の企業による協賛、そして後援会費によって支えられています。企業チームのように潤沢な資金があるわけではありませんが、松山市長がチーム顧問に名を連ねるなど、行政からの一定の理解と支援を得ています。また、練習場所として四国を代表する野球場である坊っちゃんスタジアムを利用できるなど、クラブチームとしては比較的恵まれた練習環境を享受しており、これがチーム力向上の基盤となっています。

戦績と歩み

設立以来、チームは着実に実力をつけていきました。四国地区には社会人野球の強豪チームが多く存在しますが、その中で互角以上の戦いを繰り広げるようになります。特に2014年には、四国地区予選において四国銀行やJR四国といった伝統ある強豪チームを破り、クラブチームとしては快挙となる都市対抗野球大会への初出場を果たしました。

東京ドームでの本大会出場が決定した後、チームは遠征費用を捻出するため、選手たちが自ら松山市内の街頭に立ち、市民に支援を呼びかける募金活動を行いました。この活動は広く市民の共感を呼び、多くの支援が集まりました。本大会では3回戦まで進出し、健闘を見せました。

主要全国大会への出場歴は以下の通りです。

都市対抗野球大会: 出場1回（2014年、最高成績3回戦進出）
社会人野球日本選手権大会: 出場1回（2001年、最高成績2回戦進出）
全日本クラブ野球選手権大会: 出場7回（最高成績 準優勝2回：2009年、2014年）
ナショナルクラブベースボールシリーズ: 出場1回（2006年、優勝1回）

また、四国地区の主要大会であるJABA中・四国クラブ野球選手権大会でも、2016年、2017年、2021年、2022年と4回の優勝を経験しており、四国地区のクラブチームとして確固たる地位を築いています。これらの実績は、地域に根ざした活動と選手たちの努力の結晶と言えるでしょう。

沿革の概要

1999年: NTT四国硬式野球部が廃部
2000年2月: 有志により「松山フェニックス」設立、日本野球連盟へ加入
2001年: 社会人野球日本選手権大会に初出場（2回戦敗退）
2008年: 全日本クラブ野球選手権大会に初出場（2回戦敗退）
* 2014年: 第85回都市対抗野球大会に初出場（3回戦敗退）

松山フェニックスは、NTT四国野球部の伝統を受け継ぎながら、地域社会の支援を得て活動を続ける、愛媛県社会人野球の灯を守る存在です。クラブチームとしての厳しい環境の中で、全国大会での実績を積み重ねており、今後の活躍も期待されています。

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