松川七郎

松川 七郎について

松川七郎（まつかわ しちろう）は、1906年9月3日に宮城県で誕生し、1980年11月7日に逝去した日本の著名な経済学者です。彼は東京帝国大学の経済学部を卒業した後、一橋大学の教授として多くの学生を指導し、その後も中央大学の教授として教育に携わりました。専門分野は経済学史や統計学史であり、1967年にはウィリアム・ペティに関する研究で日本学士院賞を受賞しました。これにより、彼の業績が日本における経済学の発展に寄与したことが広く評価されました。

学問的背景と業績

松川は経済学の歴史に深い関心を寄せ、特にウィリアム・ペティの研究に精力的に取り組みました。彼の代表的な著作の一つに、『ウィリアム・ペティ：その政治算術=解剖の生成に関する一研究』があり、これは1958年から1964年にかけて岩波書店から出版されたもので、ペティの思想や業績を詳細に分析しています。この研究により、ペティの政治算術や経済学の基礎を解明したと評価されています。

松川はまた、統計学にも精通しており、複数の統計調査関連の書籍を共編しました。正木千冬との共著による『統計調査ガイドブック』（1951年）や、美濃部亮吉との共著による『統計調査総覧：統計利用者への手びき』（1956年）など、これらの著作は統計学の普及に貢献しました。彼の著作は、経済学を学ぶ者にとって貴重な資料として、多くの学生や研究者に影響を与えています。

翻訳業務とその影響

松川は翻訳者としても多くの業績を残しています。ペティの『アイァランドの政治的解剖』や『租税貢納論』、『政治算術』、さらにはアダム・スミスの『諸国民の富』などを翻訳しており、これらの作品は日本における経済学の発展に重要な役割を果たしました。特に、スミスの『諸国民の富』は経済学の古典としての位置を確立する上で重要な翻訳であり、松川の手によって日本語でのアクセスが可能となりました。

指導者としての影響

一橋大学での教授職を経て、松川は1970年に定年を迎えた後、中央大学の教授として教育活動を続けました。彼の指導を受けた学生の中には、後に元中央大学教授となった竹村孝雄がいます。松川の教え子たちは、彼の影響を受けて経済学の研究に従事し、様々な分野で活躍しています。彼の教育理念は、「考える力を養う」ことに重きを置いており、学生たちが独自の視点を持つための指導を心がけました。

松川七郎の遺した足跡は、日本の経済学界において今もなお多くの人々に影響を与え続けています。彼の業績は、経済学の発展に貢献しただけでなく、後の世代の経済学者たちに重要な道標を示しました。

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