松平乗寛

松平乗寛について

松平乗寛（まつだいら のりひろ）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した大名であり、西尾藩の3代藩主です。彼は大給松平家の宗家13代目として、従四位下・侍従、和泉守の官位を有していました。彼の時代背景や経歴は、当時の日本の政治状況や経済的な課題と深く結びついています。

生い立ちと早年期

松平乗寛は1777年（安永6年）に誕生しました。彼は2代藩主・松平乗完の長男として育ち、1809年（文化6年）に17歳で家督を相続しましたが、彼が藩主となった時の藩財政は非常に厳しい状況でした。この頃、西尾藩は経済的な困難に直面しており、藩士への支出削減が急務となりました。

財政改革と困難な治世

乗寛の治世において、財政再建に向けた施策が講じられましたが、その効果は限定的でした。藩士には高100石ごとに1割の上米と増手当米の支給停止が通告され、農民に対しては先納金の借り置きや調達金の元利据え置き、さらには支払うべき先納金の5年間の再延期が行われました。しかし、1847年に発生した天保の飢饉により、これらの対策はほとんど効果をあげることはありませんでした。結果として、彼の時代は西尾藩にとって困難の連続であったと言えます。

幕府での活動

乗寛は藩主としての責務に加え、幕府でも重要な職務を務めました。彼は寺社奉行を2期務めた後、1818年には京都所司代に、そして1822年には老中という高い地位に就任しました。これらの役職を通じて、彼は幕府と藩との関係を強化することに貢献しました。

晩年と死去

1839年（天保10年）、松平乗寛は在職中に63歳で亡くなりました。彼の死去により、藩主の家督は長男の松平乗全が継ぎ、家族の歴史は次の世代へと引き継がれることとなりました。

系譜

乗寛には妻子があり、正室は阿部正倫の娘で、側室には仙松院がいました。彼の子女には、長男の松平乗全、三男の牧野忠恭、四男の松平乗秩などが含まれます。

松平乗寛の治世は、藩の繁栄を追求する中で直面した様々な困難を象徴しており、彼の施策や政治的な動向は、江戸時代の一つの側面を照らし出しています。

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