松平信興

松平信興について

松平信興（まつだいら のぶおき）は、江戸時代前期に活躍した大名で、高崎藩系大河内松平家の初代です。父は松平信綱で、その五男として生まれました。信興は、若年寄、大坂城代、京都所司代といった幕府の要職を歴任し、幕政に深く関わりました。

生涯

信興は、寛永18年（1641年）に徳川家綱の側近として仕え始め、中奥小姓、小姓組番頭、御側などを務めました。その後、延宝7年（1679年）には若年寄に任ぜられ、天和2年（1682年）には奏者番、貞享4年（1687年）には大坂城代、元禄3年（1690年）には京都所司代と、重要な役職を歴任しました。

また、信興は雑兵の戦場での体験談をまとめた『雑兵物語』の編纂に関与したという説がありますが、実際の作者は不明です。元禄4年（1691年）に亡くなりました。

実子がいなかったため、家督は養子である松平輝貞（実兄・松平輝綱の六男）が継ぎました。この系統は、最終的に上野国高崎藩主として幕末を迎えることになります。

経歴

信興の主な経歴は以下の通りです。

寛文2年（1662年）：兄の松平輝綱より、父・信綱の遺領である武蔵国埼玉郡内の新田5千石を分与される。
延宝7年（1679年）：若年寄に任ぜられ、1万2千石を領して大名となる。
天和2年（1682年）：2万2千石をもって土浦藩主となる。
貞享4年（1687年）：1万石を加増され、大坂城代となり、摂津国・河内国内へ移封。
元禄2年（1689年）：養子の斐章を廃嫡する。
元禄3年（1690年）：従四位下・侍従となり、京都所司代に転じる。
* 元禄4年（1691年）：死去。

その他

信興の家臣には、軍学者として兵法指南や城郭改修を行った者がいました。この人物は、もとは淀藩主永井氏の家臣で、武田家臣「山本菅助」の子孫であるとされています。

松平信興は、その生涯を通じて幕府の要職を歴任し、江戸時代の政治に大きな影響を与えました。彼が関わったとされる『雑兵物語』は、当時の社会を知る上で貴重な資料となっています。

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