松平輝綱

松平輝綱（まつだいら てるつな）

松平輝綱は、江戸時代前期の大名で、武蔵川越藩の第2代藩主です。松平伊豆守系大河内松平家の2代目にあたります。父は、江戸幕府の老中も務めた松平信綱です。

生涯

世嗣時代

元和6年（1620年）、松平信綱の長男として武蔵で生まれました。幼少の頃に3代将軍徳川家光に拝謁し、父・信綱の願いにより、板倉重宗の八女と縁組が許され、寛永16年（1639年）に結婚しました。それ以前の寛永11年（1634年）には、父と共に家光の上洛に随行しています。寛永12年（1635年）には、従五位下・甲斐守に叙任されました。寛永14年（1637年）には、家光が信綱邸を訪れた際に、国重の刀を与えられています。

寛永14年（1637年）から寛永15年（1638年）にかけて、島原の乱鎮圧の総大将となった父・信綱に従い、九州へ赴きました。この時の記録である『島原天草日記』は、当時の状況を知る上で貴重な資料となっています。島原の乱において、輝綱は従兄弟の天野長重らと共に城攻めに参加しましたが、ある時、止めようとした家臣を怒って斬ろうとしたことがありました。しかし、家臣が信綱の命令を優先して死を覚悟したこと、井上政重の諫めもあり、陣中に引き返したといいます。

慶安元年（1648年）には、父と共に家光の日光参詣に随行しました。その後は父の名代として、台徳院法会の奉行や造営奉行などを務めています。

藩主時代

寛文2年（1662年）3月に父・信綱が亡くなったため、4月18日に川越藩7万5000石の藩主となりました。この時、弟である信定、信興に新墾田5000石ずつ、堅綱に新墾田1000石を分与しました。

輝綱は病弱であったと伝えられており、父の死後は幕政にはあまり関わらず、その代わりに、戦術、砲術、騎馬戦法などの兵法や測量術など、軍学に興味を持ちました。また、ヨーロッパ式の経緯度入りの地図を自ら作成したり、薬学の研究をするなど、学問にも傾倒しました。また、贅沢を嫌い、家臣にも質素倹約を推奨し、自らの衣服も木綿や麻を用いたとされています。

寛文11年（1671年）12月12日に死去、享年52歳でした。跡は四男の信輝が継ぎました。

系譜

父母
松平信綱（父）
井上正就の長女（母）
正室、継室
板倉重宗の八女（正室）
龍泉院（継室） - 板倉重宗の十一女
子女
松平主殿
松平惣左衛門
松平勘解由
松平信輝（四男） 生母は龍泉院
松平鶴千代
松平輝貞
松平主税
布宇
寸和（酒井忠義正室）
宴
大
陽

登場作品

漫画

よしながふみ『大奥』（白泉社）※男女逆転設定

テレビドラマ

大奥〜誕生［有功・家光篇］（演：小澤美和）※男女逆転設定
大奥 三代将軍家光・万里小路有功編（4）（演：富山えり子）※男女逆転設定

もう一度検索