松平輝貞

松平 輝貞の生涯

松平輝貞（まつだいら てるさだ）は、江戸時代中期の大名であり、上野高崎藩の初代藩主として知られています。彼は寛文5年（1665年）に武蔵川越藩主・松平輝綱の六男として生を受けました。輝貞は、幼少期から高い家系に生まれ育ち、これが後の彼の運命にも大きな影響を与えることとなります。

彼は延宝2年（1674年）に武綱と名乗り、天和2年（1682年）6月23日に元服と同時に輝貞に改名しました。その後、元禄4年（1691年）において、輝綱の弟である松平信興の養子となり、家督を相続します。この時、信興は当初別の養子を用意していましたが、元禄2年（1689年）に廃嫡されたため、輝貞が家督を受け取ることとなりました。

家督相続前から彼は江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の小姓として奉仕しており、元禄7年（1694年）には側用人に昇進しました。その後も重用され、さまざまな加増を経て、最終的には上野高崎藩として7万2000石を領有するに至ります。

しかし、運命は変転します。6代将軍となった徳川家宣は、前の将軍の側近を排除する政策を実行し、輝貞もその波に呑み込まれ、宝永6年（1709年）1月に越後村上藩へと事実上の左遷を受けました。

この困難な時期を乗り越え、享保2年（1717年）には再び高崎藩に戻り、家格も溜詰格へと昇進がなされました。享保15年（1730年）には老中格に任命されるなど、輝貞はその実務能力と経験が評価され重用され続けました。その老中格としての地位は長きにわたるものでした。

延享4年（1747年）には83歳で亡くなり、墓は東京都台東区の東叡山明王院に埋葬され、後に平林寺に改葬されました。

略歴

このセクションでは、輝貞の主要な経歴を簡単に記載します。

• - 1665年（寛文5年） - 誕生
• - 1688年（元禄元年） - 中奥小姓に任命
• - 1689年（元禄2年） - 側衆に昇進
• - 1691年（元禄4年） - 摂津国・河内国内3万2000石相続
• - 1692年（元禄5年） - 壬生に転封
• - 1693年（元禄6年） - 側用人に就任
• - 1694年（元禄7年） - 1万石加増
• - 1695年（元禄8年） - さらに1万石加増、高崎藩に転封
• - 1709年（宝永6年） - 側用人免職
• - 1717年（享保2年） - 再び高崎に転封
• - 1730年（享保14年） - 老中格に任命
• - 1745年（延享2年） - 致仕、隠居
• - 1747年（延享4年） - 死去

官歴と系譜

輝貞の官歴では、1689年に従五位下・右京亮、1694年に従四位下・右京大夫、1701年には侍従に任命されています。彼の家族背景には、実父である松平輝綱と母の龍泉院が存在し、正室には市子がいます。市子は柳沢吉保の養女であり、2人の養子には松平輝規と資訓継室がいます。

文化的影響

輝貞は多くの文化作品にも登場しており、1975年のNHKの『元禄太平記』や、1976年のTBS『水戸黄門第7部』、さらには2014年の映画『超高速!参勤交代』など、様々なメディアで描かれています。彼の存在は、江戸時代の大名としての役割だけでなく、後世への影響を残していくこととなります。

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