松平光慈

松平光慈（まつだいら みつちか）

松平光慈は、江戸時代中期の武将であり、山城淀藩の第2代藩主、のちに志摩鳥羽藩主、そして信濃松本藩の初代藩主となりました。戸田松平家6代目を継ぎ、その治世の基礎を築いた人物として知られています。幼少期からその才能を発揮し、領民からの信頼も厚かったと伝えられています。

生涯

正徳2年（1712年）9月22日、淀藩初代藩主である松平光煕の三男として誕生しました。幼名は不明です。享保元年（1716年）4月27日、叔父にあたる戸田光規（松平光永の三男で、旗本3000俵を領していた）の養嗣子となり、家督を継ぎました。しかし、同年10月22日には実父である光煕の嫡子となりました。これは、本家を継ぐはずだった長兄と次兄が相次いで早世したためです。このため、旗本戸田家は絶家となりました。

享保2年（1717年）11月1日、父である光煕の死去により家督を相続し、同時に志摩鳥羽への移封を命じられました。享保8年（1723年）4月1日には、将軍徳川吉宗に御目見えしました。享保10年（1725年）10月18日には、鳥羽藩から信濃松本への移封を命じられました。同年12月18日には、従五位下・丹波守に叙位・任官しました。

享保13年（1728年）4月1日には、将軍徳川吉宗の日光参詣の警護を務めました。享保15年（1730年）9月23日には、松本藩への初入国を許可されました。享保16年（1731年）8月11日から21日にかけて領内を巡視し、領民の生活状況を把握しました。なお、享保12年（1727年）閏1月には、松本城の本丸御殿が火災により焼失しており、財政難のために再建できず、二の丸御殿を政庁として使用しました。このことからも、当時の財政状況が厳しかったことがうかがえます。

享保17年（1732年）に、光慈は21歳という若さで亡くなりました。跡は、養子であり実弟の光雄が継ぎました。短い生涯ではありましたが、松本藩の基礎を築き、領民に慕われた名君として、その名は後世にまで語り継がれています。

人物

光慈は、英明な人物として知られており、その治世は領民に安心感を与えたと言われています。若くして藩主となったにもかかわらず、卓越した政治手腕を発揮し、松本藩の発展に大きく貢献しました。また、領内巡視を積極的に行い、領民の意見を直接聞き入れるなど、民政にも力を入れていました。その人柄は、多くの人々から尊敬を集めていました。

系譜

父母

松平光煕（実父）：淀藩初代藩主
都筑氏（実母）：側室
戸田光規（養父）：旗本

側室

新家氏

子女

女子：青山幸道正室、のち建部長教正室。生母は新家氏（側室）

養子

松平光雄：実弟

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