松平好房

松平好房（まつだいら よしふさ）は、江戸時代前期に丹波国福知山藩（後の肥前国島原藩）主・松平忠房の長男として生まれました。官位は従五位下・大炊頭。

明暦2年（1656年）に徳川家綱に拝謁し、寛文2年（1662年）には叙任されましたが、若くして寛文9年（1669年）に21歳で亡くなりました。家督を継ぐことはなく、代わりに弟の忠倫が嫡子となりました。正室は鍋島直澄の娘。

好房は、その孝行ぶりで広く知られています。幼少の頃から両親への敬愛を深く抱き、以下のような逸話が残されています。

父母のいる方向へ足を伸ばすことはなかった。
外出や帰宅の際には、必ず父母に挨拶をした。
父母から授かった物を大切にし、常に身につけていた。
人が父母の話をする際には、常に姿勢を正して耳を傾けた。

これらの逸話は、戦前の修身の教科書にも掲載され、孝行の模範として広く推奨されました。

好房を祀る「孝子廟」は、深溝松平家の菩提寺である本光寺（愛知県額田郡幸田町）に建立されています。また、本光寺（長崎県島原市）には、徳川家達の揮毫による頌徳碑が建てられ、その功績を称えています。

松平好房は、藩主の世嗣という立場でありながら、その孝行心によって人々に感銘を与え、後世にまで語り継がれる存在となりました。彼の生き方は、家族を大切にし、親を敬うことの重要性を教えてくれます。

彼の短い生涯は、孝行息子としての鑑として、今もなお、人々の心に深く刻まれています。

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