松平康民

松平康民：華族としての生涯と時代

松平康民は、明治維新後の日本社会を生き抜いた華族の一人です。1861年、津山藩藩主・松平斉民の五男として誕生しました。幼少期は明丸と名乗り、華族としての道を歩むことになる運命を辿ります。


若き日の康民は、清水徳川家の相続候補に挙げられるも、辞退するという決断をしています。この選択は、彼自身の将来に大きな影響を与えたであろう重要な出来事です。その後、兄の急逝により家督を相続、そして1884年には子爵に叙爵されました。


華族としての地位を確立した康民は、政治の世界にも進出します。1890年から死去するまで貴族院議員を務め、貴族院において政治活動に携わりました。彼は政府に対して伯爵への昇格を働きかけたこともありましたが、それは実現しませんでした。貴族院での活動を通して、日本の政治に影響を与えようとした彼の強い意志が見て取れます。


康民は、日清戦争と日露戦争においても重要な役割を果たしたとされています。その功績により、様々な栄典を受賞しました。勲章や位階の昇叙は、彼の貢献が国家によって認められた証と言えるでしょう。


康民の私生活にも目を向けると、彼は八百子、そして澤子と結婚しました。また、長男を亡くすという悲しみも経験しています。彼の死後、家督は次男の康春が継承しました。


康民の生涯は、激動の時代を生き抜いた華族の典型的な例と言えるでしょう。彼は、華族としての地位を維持しながら、政治にも関わり、国家のために貢献しました。彼の功績は、日本の近代史において重要な位置を占めています。

家族関係

父：松平斉民（津山藩藩主）
母：家女
妻：八百子（松平定安の四女）、澤子（森川文平の娘）
子：康良（長男）、康春（次男）

叙爵・栄典

1884年（明治17年）：子爵に叙爵
勲三等瑞宝章
旭日中綬章
正三位勲三等
従二位

政治活動

明治23年（1890年）～没年：貴族院議員


康民の生涯は、明治・大正期の日本社会の変遷を反映したものです。華族という特権階級に属しながらも、政治や戦争に積極的に関与し、自らの能力と地位を活かして国家に貢献しようとした彼の生き様は、現代においても学ぶべき点が多いと言えるでしょう。彼の墓所は谷中墓地にあります。彼が残した足跡は、日本の歴史に刻まれた貴重な遺産と言えるでしょう。


参考文献


時事新報社　第三回調査全国五拾万円以上資産家（1916年）
維新史料編纂会 編『現代華族譜要』日本史籍協会、1929年1月15日
『徳川諸家系譜』 第四、続群書類従完成会、1984年12月5日
衆議院・参議院 編『議会制度百年史　貴族院・参議院議員名鑑』1990年11月

もう一度検索