松平忠利

松平忠利は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけての武将であり、大名です。深溝松平家の5代目当主として、その名を歴史に刻みました。彼の生涯は、戦乱の時代を生き抜き、領主としての手腕を発揮したことで知られています。

生涯

忠利は、深溝松平家4代当主である松平家忠の長男として生まれました。幼名は「お猿」といい、松平清善から名付けられ、脇差も与えられたと伝えられています。

慶長元年（1596年）、忠利は徳川秀忠に仕えることとなりました。慶長5年（1600年）には、秀忠から偏諱を受け、忠俊と名乗ります（後に忠利と改名）。同年、関ヶ原の戦いの前哨戦である伏見城攻防戦で父・家忠が戦死したため、忠利は下総小見川の遺領を継承しました。

その後、忠利は徳川家康に従い、下野国まで赴きました。上杉景勝の南下に備えての押さえとして残された際、父の仇を討ちたいという強い思いから戦場へ赴くことを望みましたが、許されませんでした。

関ヶ原の戦いの後、忠利は父祖の旧領である三河深溝に1万石を与えられました。さらに慶長17年（1612年）には、三河吉田3万石に加増され、大名としての地位を確立しました。大坂の陣にも参戦し、武功を立てています。

寛永9年（1632年）6月5日、忠利は51歳で生涯を閉じました。その跡は、長男の忠房が継ぎました。

文化人としての一面

忠利は、武将としての一面だけでなく、文化人としての側面も持ち合わせていました。里村紹巴と交流し、連歌に優れた才能を発揮しました。「寿松院殿忠利公御連歌懐紙」という歌集が残されており、その才能を今に伝えています。

系譜

父母
父：松平家忠
母：水野忠分の次女

正室
松平家清の娘

子女
長男：松平忠房（生母は正室）
次男：松平忠季
娘：木下俊治正室

松平忠利は、戦国時代から江戸時代への移行期を生き抜き、武将として、また文化人としてもその名を歴史に刻みました。彼の生涯は、激動の時代における大名の姿を今に伝えています。

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