松平直益

松平直益：糸魚川藩を支えた大名の生涯

松平直益は、寛政元年（1789年）に越後国糸魚川藩の第4代藩主・松平直紹の長男として生まれました。文化3年（1806年）に父の隠居に伴い、11月28日に家督を継ぎ、第5代藩主となります。

要職を歴任する一方で逼迫する藩財政

直益は藩主として、文化4年（1807年）に馬場先門番、文化5年（1808年）には日光祭礼奉行、文化10年（1813年）には大坂加番といった幕府の要職を歴任しました。これらの役職は藩の格式を高める一方で、出費も莫大なものとなりました。

さらに、文化7年（1810年）1月には江戸屋敷が焼失、文化8年（1811年）3月には藩内が大火に見舞われるなど、相次ぐ災難が藩財政を逼迫させました。これらの出来事は、直益の藩政運営に大きな影を落としました。

黒川騒動と隠居

文政2年（1819年）には、御用金の過酷な徴収を行う黒川郡代に反対する黒川騒動が勃発しました。この騒動は、藩政に対する領民の不満が表面化したものであり、直益の統治能力が問われる事態となりました。

度重なる出費や災害、そして領民による騒動など、藩政運営に苦慮した直益は、文政9年（1826年）9月14日に次男の直春に家督を譲り、隠居しました。天保4年（1833年）に45歳で死去しています。

松平直益の系譜

父：松平直紹
母：八重（本多助盈の娘）
正室：幹（松平直泰の娘）
継室：高姫（本多正温の娘）
子女：
松平直春（次男）：生母は正室の幹
称念寺某
江田某
松平益志
佐藤某室
田村某室のち船橋某室
曽根某室
* 河合方利室

松平直益は、藩主として多くの課題に直面しながらも、藩政を維持するために尽力しました。しかし、相次ぐ災難や領民の不満など、困難な状況を打開することはできませんでした。彼の生涯は、江戸時代後期の大名が抱える苦悩を象徴していると言えるでしょう。

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