松平輝延

松平輝延（まつだいら てるのぶ）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した武士であり、上野国高崎藩の藩主、寺社奉行、大坂城代、そして老中という幕府の要職を歴任しました。高崎藩大河内松平家の6代目として、その生涯は藩政と幕政の両面で重要な役割を果たしました。

生涯

1775年（安永4年）閏12月15日、江戸に生まれました。実父は高崎藩第3代藩主である松平輝高、実母は側室の大川氏です。1788年（天明8年）11月10日、兄である松平輝和の跡継ぎとなり、その養子となりました。1800年（寛政12年）11月12日には家督を相続し、高崎藩主となります。その後、幕府においても重要な役職を歴任し、1801年（享和元年）6月27日には奏者番に、1802年（享和2年）4月28日には寺社奉行に任命されました。


1815年（文化12年）4月29日には従四位下に叙され、大坂城代に任じられます。大坂城代は、大坂における幕府の行政と軍事を統括する重要な役職であり、その責任は非常に重いものでした。しかし、1822年（文政5年）、藩の財政悪化を理由に、病気を理由として大坂城代を辞任し、溜間詰次席となります。しかし、翌年の1823年（文政6年）11月13日には老中に就任し、幕政の中枢を担うこととなりました。同年12月15日には侍従にも任じられ、その地位はさらに高まりました。1825年（文政8年）2月17日、その生涯を閉じました。

家族

松平輝延は、多くの妻妾を娶り、多くの子女を儲けました。正室には松平信明の養女で松平信譲の娘である琴を、継室には南部利正の娘である幸子を迎えました。また、側室として中井氏、田中氏、古川氏、安間氏、根本氏を迎えました。長男の松平輝茂は琴との間に生まれ、次男の松平輝実は田中氏、三男の松平輝承は古川氏との間に生まれています。娘たちもそれぞれ有力な家に嫁いでおり、総子は朽木綱條、雅子は南部利済、盈子は酒井忠義や松平宗秀と婚姻しました。また、養子として松平輝和の長男である松平輝健や、前田利幹の正室となった松平定信の娘である庸を迎えました。

まとめ

松平輝延は、高崎藩主としての藩政運営だけでなく、寺社奉行や大坂城代、老中として幕政にも深く関与し、その多岐にわたる活躍は江戸時代後期の歴史を語る上で欠かせない人物です。彼の生涯は、当時の武士のあり方や、藩と幕府の関係を理解する上で重要な手がかりとなります。

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