松平輝高

松平輝高は、江戸時代中期に活躍した大名で、上野高崎藩の第4代藩主です。初代藩主・松平輝規の長男として生まれ、その生涯において幕府の要職を歴任しました。

生涯

輝高は、高崎藩主としての地位を継承した後、幕府において重要な役職を歴任しました。奏者番を経て、寺社奉行に就任し、その後、大坂城代、京都所司代と要職を歴任。特に京都所司代時代には、明和事件（宝暦事件）において竹内敬持を逮捕するなど、幕府の治安維持に貢献しました。

その後、老中に任命され、安永8年（1779年）には老中首座となり、勝手掛も兼務しました。これは、幕府の財政を担う重要な役職であり、彼の能力が幕府からも高く評価されていたことを示しています。

しかし、天明元年（1781年）には、輝高が総指揮を執った上州の絹織物や生糸への課税に対し、西上州の農民たちが一揆を起こし、高崎城を攻撃するという前代未聞の事態が発生しました。この絹一揆は、幕府の課税政策に対する農民の不満が爆発したものであり、輝高は責任を問われることとなりました。結果として、幕府は課税を撤回しましたが、輝高は精神的なショックから病に倒れてしまいます。将軍・徳川家治に辞意を表明するも慰留され、老中在任のまま失意のうちに亡くなりました。

彼の死後、老中首座が勝手掛を兼務するという慣例は崩れることになりました。これは、彼の失脚が幕府の役職制度に大きな影響を与えたことを示しています。

長男の輝行が早世したため、家督は次男の輝和が相続しました。

官位・役職

輝高は、その生涯で多くの官位と役職を歴任しました。

延享2年（1745年）：従五位下・佐渡守に叙任
延享4年（1747年）：因幡守に転任
寛延2年（1749年）：家督を相続し、高崎藩主となる。奏者番に任ぜられる
宝暦元年（1751年）：寺社奉行を兼任し、右京亮に改める
宝暦2年（1752年）：大坂城代に任ぜられ、従四位下・右京大夫に叙任
宝暦6年（1756年）：京都所司代に転任し、侍従となる
宝暦8年（1758年）：老中に就任
安永8年（1779年）：老中首座・勝手掛に就任。1万石加増され、8万2千石を領する
天明元年（1781年）：現職のまま死去

系譜

父：松平輝規
正室：兼（松平信祝の娘）
継室：幸（松平信祝の娘）
側室：林氏、大川氏
子女：
松平輝行（長男、林氏の子）
松平輝和（次男、林氏の子）
松平輝延（三男、大川氏の子）
永（柳沢保光正室、林氏の子）

まとめ

松平輝高は、幕府の要職を歴任した有能な大名でありましたが、晩年は絹一揆の責任を負い、失意のうちに生涯を終えました。彼の死は、幕府の役職制度にも影響を与え、歴史に名を残す人物となりました。

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