松本動

松本 動（まつもと ゆるぐ）

1969年（昭和44年）10月14日、東京都立川市に生まれる。現在も同市を拠点に活動を続ける、日本の映像作家。映画監督、脚本家として多角的に活躍する傍ら、テレビ番組のディレクターも務めている。

経歴

立川で生まれ育った松本は、1991年に専門学校インテリアセンタースクール（現 ICSカレッジオブアーツ）のインテリアデザイン科を卒業。翌1992年にはイメージフォーラム付属映像研究所を修了し、映像制作の道を本格的に歩み始める。映像研究所に在籍中から、8mmフィルムを用いた自主映画の制作を開始し、短編や中編の作品を約10本手掛けるなど、精力的に活動を行った。

プロの世界に入ってからは、助監督として多くの映画製作に携わる。石井隆監督の「TOKYO G.P.」を皮切りに、山崎貴監督の「ALWAYS 続・三丁目の夕日」や中村義洋監督の「チーム・バチスタの栄光」など、多様なジャンルの作品に参加。特に、映画監督・大林宣彦作品には深く関わり、監督補佐として「花筐/HANAGATAMI|花筐_HANAGATAMI」に携わった経験は、その後の制作活動に大きな影響を与えたと考えられる。

また、脚本家としても才能を発揮しており、第3回MPA/DHUフィルムワークショップシノプシスコンテストで「つれづれ」が優秀作品に選出され、著名なアニメーション監督であるカルロス・サルダーニャから評価を得た。さらに、同脚本はサンダンス・インスティテュート/NHK賞2018においてベスト9にも選ばれるなど、脚本家としての実力も高く評価されている。

現在の活動と自主映画の成功

現在の活動の中心は、テレビ番組の再現ドラマや企業向けVPの脚本・監督である。商業作品を手掛ける一方で、約20年ぶりに自主映画制作を再開。この再開後の短編映画が、各地の映画祭で目覚ましい成果を上げている。

2015年に制作された短編「ミックス」が横浜映像天国でグランプリを受賞したことを皮切りに、自主映画への情熱が再び燃え上がる。続く短編「ガチャガチャ」は同映画祭でグランプリと審査員賞を同時受賞。さらに「公衆電話」もグランプリを獲得し、そして「カセットテープ」ではグランプリと主演女優賞（菅井玲）をダブル受賞するという快挙を達成。これにより、松本は横浜映像天国において前人未踏のグランプリ4連覇という偉業を成し遂げた。これらの作品は、横浜映像天国以外にも、八王子Short Film映画祭、岩槻映画祭、福岡インディペンデント映画祭など、国内外の様々な映画祭で受賞や入選を果たし、高く評価されている。

短編作品での成功を経て、2019年には長編映画監督デビューを飾る。精神障害者支援団体「きょうされん」の40周年記念映画として制作された「星に語りて-Starry Sky-」が、初の長編監督作品となった。また、乃木坂46のメンバーが出演するショートムービー「バージン・ブリーズ」の脚本・監督も担当するなど、活動の幅を広げている。

地域活動と趣味

出身地である立川市への貢献も積極的に行っており、地元の「映画制作ワークショップ」で講師を務めたり、「立川名画座通り映画祭」の審査員を務めたりするなど、地域における映画文化の振興に尽力している。

映像制作とは全く異なるユニークな一面として、熱心な石油ストーブ（kerosene heater）のマニアとしても知られる。約60台の石油ストーブをコレクションしており、自らオーバーホールした台数は100を超えるという。石油ストーブに関する書籍を出版することを夢見ている。

2019年7月には、高円寺シアターバッカスにて松本動の特集上映会が開催され、長編デビュー作「星に語りて-Starry Sky-」や、受賞作「ミックス」「ガチャガチャ」「公衆電話」「カセットテープ」といった代表的な短編作品が上映された。

多岐にわたる映像制作活動と、独自の視点を持つ松本動の今後の活動に期待が集まる。

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