松村又一

松村 又一 (まつむら またいち) - 日本の作詞家

松村又一は1898年3月25日、奈良県高市郡明日香村に生まれました。昭和期を代表する作詞家であり、民謡作家としても名を馳せた彼は、音楽界において「土の詩人」と称される独特のスタイルを持っていました。

経歴

松村は旧制畝傍中学校を中退した後、家業の農業を継ぎながら、歌人の前田夕暮に師事しました。彼は「詩歌」という同人誌に参加するなどして詩作に情熱を注ぎ、詩話会の会員としても活躍していました。1927年には東京へ上京し、本格的に文筆活動を始めます。

コロムビアレコードに入社した松村は、作詞家としての才能を発揮しました。彼はコロムビアだけでなく、ポリドールやビクター、オリエント、タイヘイなどのレコード会社にも作品を提供しましたが、当初はなかなかヒット曲には恵まれませんでした。そこでキングレコードに移籍し、1939年に上原げんとと岡晴夫のために作詞した「国境の春」が大ヒットしました。

戦後には林伊佐緒の「麗人草の歌」などもヒットし、日本マーキュリーレコードの創設と共に同社に移籍。ここでは、野村雪子の初ヒット「初恋ワルツ」や岡晴夫の「お月さん今晩は」など、数々の名曲を生み出し、マーキュリーの黄金時代を築き上げました。その後も東芝レコードに移籍し、活動を続けました。

詩作においても多くの作品を発表し、「日本詩人」や「私達」、「雲」、「詩人連邦」といった詩誌で農民詩の先駆者として位置づけられました。彼の詩集には「畑の午餐」、「野天に歌ふ」、「漂泊へる農夫」、「日本の母」などがあり、民謡集も複数出版しています。

1990年には第32回日本レコード大賞功労賞を受賞し、長年の成果が評価されました。1992年9月30日、彼は94歳でこの世を去りました。

代表作

松村又一は、数々の名曲を世に送り出しました。以下はその一部です。

• - 走れトロイカ（昭和6年10月）
• - 想い出のブルース（昭和13年10月）
• - 国境の春（昭和14年2月）
• - 戦場の母（昭和14年6月）
• - 少年兵を送る歌（昭和19年3月）
• - 麗人草の歌（昭和24年2月）
• - 初恋ワルツ（昭和29年9月）
• - お月さん今晩は（昭和32年4月）
• - 凧々あがれ（昭和33年2月）

松村又一の作品は、今もなお多くの人々に愛され続けており、彼の独特の視点と感受性は、多くの作詞家やミュージシャンに影響を与えています。

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