林伊佐緒

林 伊佐緒（はやし いさお）

林伊佐緒は1912年5月11日に山口県厚狭郡王喜村（現在の下関市）で生まれた、日本の著名な歌手および作曲家です。彼は日本[[歌手協会]]の4代目会長を務め、その独自の音楽スタイルと作品で日本の歌謡界に多大な影響を与えました。彼は1975年に紫綬褒章、1983年には勲四等旭日小綬章を受章し、功績を称えるために没後に従五位を追贈されました。

幼少期からの経歴

父は林正二で、王喜村の村長でした。旧制興風中学校では陸上競技の400メートル走や水泳自由形で活躍し、音楽にも情熱を注いでいました。当初は体育学校や音楽学校への進学を希望するも、母の反対により明治大学に進むことになりました。しかし、大学通学中に東京高等音楽学院でのピアノ科に通うことを決意し、最終的には大学を中退しました。

1934年、郷里に戻り徴兵検査を経て再び上京。ナッパーの歌手試験に合格し、「マイフレンド」の名前でデビューしますが、人気が出ず、3ヶ月後には本名を基にした林伊佐緒という名前に改名しました。彼はジャズ音楽も手がけ、1936年にはキングレコードに移籍し、そこで生涯続けることになります。

音楽キャリアの築き方

1937年には新橋みどりとのデュエット曲「若しも月給が上ったら」が大ヒットを記録し、歌手としての名声が広がりました。デビュー以来、彼の多くの楽曲は自身で作曲も手がけ、「日本初のシンガーソングライター」としての名声を博しました。彼は「出征兵士を送る歌」や「産業戦士の歌」といった楽曲を作曲し、当時の社会情勢を反映したメッセージ性の強い楽曲を数多く発表しました。

戦後も活躍は続き、1950年代には「ダンスパーティーの夜」や「そっとこのまま」といった楽曲が大ヒットし、特に三橋美智也との「リンゴ村から」や春日八郎との「長崎の女」など、多くの名曲を手がけました。彼の楽曲は多様なスタイルを持ち、全国的な人気を誇ったのです。

晩年と社会への貢献

昭和30年代から40年代はテレビやラジオの出演が増え、懐メロブームの中で再び注目を浴びることになりました。彼はNHK紅白歌合戦に第1回から11回出場し、その存在感を示しました。特に彼の堂々たる歌唱力は高く評価され、1970年代には当時の懐メロ番組でもその声量が多くの視聴者を魅了しました。

1989年から1995年までの間、彼は日本[[歌手協会]]の会長を務め、後輩たちのために尽力しました。レコード使用料の分配問題に取り組むなど、業界の発展に寄与する姿勢も伺えます。晩年には、同世代の歌手たちの死に対してユーモアを交えた言葉を残しつつも、彼自身も感情豊かに歌い続けました。

1994年にはNHKで「高原の宿」を披露し、健在をアピールしましたが、1995年9月29日に肺炎により惜しまれつつ83歳で逝去しました。葬儀は東京都文京区の護国寺桂昌殿にて営まれ、その追悼の意が示されました。彼の音楽は、今も多くの人々に愛され続けています。

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